坂本花織、厳しい評価に直面しもやもや。「ルッツを見直していきたい」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihiro

「最初の3回転フリップ+3回転トーループは、フリップの後にオーバーターンを入れてしまったんですけど、すぐに切り替えて跳ぶことができたし、そのあと、後半に向けては自分らしく練習どおりのジャンプが跳べていたので満足しています。ただ、(低かった)点数は仕方ないと思っています」

 フリーの得点は技術点が69.72点と伸びず、合計137.42点にとどまった。フリーの自己ベストは146.70点。今季はNHK杯で153.91点を出し、全日本選手権でも150.31点をマークして、2戦とも非公認ながら150点台を出していた。それだけに、140点にも及ばなかった今回の得点は不甲斐なかったはずだ。

「(今季の試合で)いままでは普通であれば150点とか出ていて、思っていた点数よりはやはり15点くらい今日(のフリー)は低かったので、いつもそういうわけ(150点台を出すこと)にはいかないんだなと思って......。

 正直、すごい(気持ちが)もやもやしているんですけど、でも、こういう経験も必要なので、今後は得点が出ないこともあるんだという、今回の経験をしっかりと覚えて、今後の練習や試合に臨みたいなと思っています」

 エッジエラーがつくかもしれない3回転ルッツをあえてプログラムに組み込み、得点アップを図った今季だったが、コロナ禍での初めての国際大会となる世界選手権で、その目標を達成できなかった。逆に、現在の自身が置かれている序列がどの位置なのかをまざまざと見せつけられた結果となった。

「ショートとフリーで3回転ルッツにエッジエラーがついてしまい、減点がどれだけ得点に響くのかを痛感しました。NHK杯ではアテンションマーク(不明瞭なエッジとの判定)がついたと思うんですけど、全日本選手権では何もつかなかった。

 いままではルッツはフリーにしか入れていなくて、フリーではほかの要素が結構大きくて、3回転フリップ+3回転トーループやダブルアクセル+3回転トーループが得点源になっているので、正直、3回転ルッツにエッジエラーがついて減点されても気にしなかったんです。今季は久しぶりに3回転ルッツをショートに入れてみて、3つしかないジャンプの中でひとつでもエッジエラーがあると、得点がこれだけ下がってしまうんだなと思いました。

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