羽生結弦がネイサン・チェンと再戦。ライバルに勝利するための条件は (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 フリーは最初の4回転ルッツがステップアウトになるミスをしたが、その後は3回転ルッツを挟んで4回転フリップ+3回転トーループと4回転サルコウ。後半には4回転トーループ+オイラー+3回転フリップと、4回転トーループ+3回転トーループ、トリプルアクセルをしっかり決めて合計を322.28点にして優勝。世界選手権では4回転5本の精度をさらに上げてきそうだ。

 全日本選手権の羽生と全米選手権のチェンの技術基礎点を比較すると、スピンとステップがすべてレベル4ならSPは4.02点、フリーは9.20点、チェンが上回っている計算になる。

 その状況下で羽生は、これまでどおり各要素のGOE加点をより稼ぐことと、プログラムの完成度を高めて演技構成点も高得点を獲得することで対抗しようとしている。直接対決となればジャッジも両者の各要素の質を比較できるだけに、GOEや演技構成点である程度の差がつく可能性は大きい。

 そう考えてジャンプ構成を推察すれば、羽生はミスができないSPの安定を求めて、4回転はサルコウとトーループを選択するだろう。もちろん、4回転トーループ+3回転トーループの連続ジャンプを基礎点の高い後半に入れてくる可能性もある。

 一方、フリーは現時点で4回転アクセルは厳しいとみられるだけに、昨年の四大陸選手権のように冒頭の4回転をループより氷の状態に影響されにくいルッツに替え、基礎点を上げる可能性は高い。4回転5本は昨季のグランプリ(GP)ファイナルの時に「本来ならやりたくない構成だった」と羽生が話していたため、4本構成で挑む公算だ。その中でも、全日本で前半に入れていたトリプルアクセル+2回転トーループを、後半最後のジャンプに入れることも視野に入れているだろう。

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