村元哉中&髙橋大輔組が振り返る結成からの道のり。今後は「まだまだもっといい景色を見たいなという気持ちがある」 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【結成からの2シーズン】

 カップル結成からの2シーズン、ここまで成長した道のりを、ふたりはこう振り返る。

村元哉中(以下、村元) 本当にすべての面で成長しているんじゃないかと思います。技術面でも表現面でも、ダンサーとしてひとつのチームになっているというのはすごく実感している。今季はNHK杯とワルシャワ杯にも出て実際に評価も得られて。それは"かな・だい"が成長しているという評価。アイスダンスを始めたばかりの大ちゃん(髙橋)がここまでこられたことは本当にすごいし、すごく成長をしているというのは感じています。

髙橋大輔(以下、髙橋) 先シーズンがスタートした時は、五輪は本当に夢みたいなところで、いけるとは思えないくらいで。実際に大変なことばかりでなかなかうまくいかなかった。コロナの影響で(コーチの)マリナ(・ズエワ)先生の指導もほとんど受けられず、自分たちでやるのがほとんどだった。でも、今季はじっくりレッスンを受けられていていい練習になっています。NHK杯とワルシャワ杯、全日本選手権と本当に自信がつくような演技や結果だった。先シーズンと比べると、自分のなかでもいろいろなことを考えずに演技ができる時が増えてきて、だいぶふたりの世界観もつかんできたのではないかと思います。もっと時間をかけてやっていけばもっともっといいものになると思うし、世界選手権で世界のみんなと戦えるチャンスをもらったので、そこで自分たちの立ち位置もわかる。自分たちの成長を確認できるのでワクワク感を感じています。

 最初のシーズンはコロナ禍で国内でのスタート。7月にアメリカへ行ってマリナ・ズエワコーチの指導を受けられるようになったものの、髙橋が肋骨にひびが入るケガをして3週間ほど練習ができず。髙橋のケガが治ったあと、今度は村元が転倒で脳震盪になり、約1カ月間練習ができなかった。そんななかでも、ふたりは「心配しすぎることもお互いを焦らせるだけだ」と考え、適度な距離感を保ちながら、相手が復帰してきたらすぐに対応できるようにと、ふだんと同じようにトレーニングに取り組み、それぞれが自分を磨くことを心掛けていた。

髙橋 先シーズンはリフトでけっこうコケることや落とすことも何回もあった。今シーズンはそういうことは減ったけれど、哉中ちゃん(村元)も体を預けるのが怖かったと思います。でも、それを見せると僕が自信をなくすというのもわかっていたので、見せないようにして頑張ってくれていたのにも気がついていました。そういったところで乗り越えられたものもあると思うし、今シーズンは自分でも安定していると思えるようになりました。

村元 リフトされる側もちゃんとした位置に乗ってあげないと支える側の負担にもなるので。お互いに考えなくてはいけない部分はありますが、今は不安なく体を預けられるようになりました。大ちゃんもこの短期間でそうなったのはすごいと思います。

 不安のほうが大きかった時期を経験したからこそ、ふたりの信頼関係も深まり、今季の躍進につながったという。

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