4回転時代と向き合う宮原知子。完璧性を求めプログラムを物語にする (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そう言って演技のディテールに打ち込む姿は、名人と言われる刀鍛冶が鉄を打ち続けるようだ。

 宮原はフリーも、演技構成点では圧倒的優勝を飾った紀平をも上回っている。表現力は彼女の真骨頂だろう。もっとも、彼女はそこにすがっているわけではない。

〈プログラムを物語にする〉

 自らの演技の完璧性を求めているのだ。

 来年3月に開催予定の世界選手権の派遣選手にも選出された。2022年の北京五輪に向かうシーズン、彼女は自らと対峙し続ける。

「今後のスケジュールはまだ確定していなくて。来年1月真ん中までは日本にいる予定ですが、その後はカナダに戻ってリー(・バーケル)先生の指導を受けたいと思っています。ただ、この状況(コロナ禍)なので」

 来シーズンも、フリーは『トスカ』を滑り込むつもりだという。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る