三原舞依が涙の好演技。応援を力に「ありがとうって何回言っても足りない」 (3ページ目)
「まず滑る前に、自分の名前を(会場で)コールしてもらって、試合に戻ってきたなぁ、というのが嬉しくて。先生に『いってらっしゃい』と言われて、『ただいま』という気持ちで氷に乗れたのが嬉しかったです」
そう語っていた彼女は、真摯なスケーティングでいきなり表彰台に立った。その後、オール兵庫、西日本選手権、NHK杯と少しずつ難易度を上げ、精度を高めてきた。
「練習が再開できただけでうれしかった!」
そう言って表情を輝かせていた三原は、練習と試合の境界線がないほど滑ることに熱中しているのだろう。それゆえ、緊張するはずの試合になっても精度が落ちない。むしろ、観客の拍手を受けることによって、技術が引き上げられた。リンクの上で観客と呼吸ができるというのか。それは、トップスケーターのみが知る領域なのだろう。説明がつかない高揚感を、会場に生み出せるのだ。
「広いスケート会場では、一番の上のほうにいる方たちまで届くような表現ができるようにと思っています。感謝の気持ちを伝えたい。声援や拍手が力になっていますので」
NHK杯ショートの後、彼女はそう言って観客の中でスケートができる喜びをかみしめていた。
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