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鍵山優真に度肝を抜かれた無良崇人。
独特な4回転トーループに注目 (4ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

 ずっと大ちゃん(髙橋大輔)のスケートを見て育ってきましたが、やはり自分らしさというものを求めなきゃいけないし、そこから変えていかなきゃいけないとなった時に、『オペラ座の怪人』と出合って、こういう方向性が自分にすごく合っているなと思いました。現役最後の年に、何を滑るか決める時に、もう一回『オペラ座の怪人』をやりたいと思いました。

 僕にとってのプログラムは作品だと思っています。使っている曲はもともとの題材があるわけです。そのもともとのストーリーをいかに自分の作品として自分を表現できるかだと思います。だから、そこに個性が必要なんじゃないかなと思うんです。プログラムに個性がないとスカスカになってしまう。見応えを感じてもらうためには、やっぱり自分らしさや個性というものがあってこそだと思います。

 たまたま僕が育った時期は、(町田)樹みたいに芸術性を追求するタイプの選手もいたし、織田(信成)君みたいなコミカルなジャンルが得意な人もいたし、崇ちゃん(小塚崇彦)みたいにベーシックなスケーティングを持って表現を滑らかにやっていく選手もいた。それぞれがみんな違うキャラクターを持っていた時代でした。

 その中で、自分はどういう方向性でいくか、どういう選手になっていきたいか、どういうイメージの選手だと思われたいかということを、考えてやっていた時代でした。だからこそ、逆にいろいろなことを気づかせてもらったのかもしれないです。本当にいい時期に選手をやっていたと思います。

 その後に出てきた(羽生)結弦選手も、(宇野)昌磨選手もそうです。異なるキャラクターの選手が集まって試合をできるというのは、見る側としても面白いと感じてもらえる要素だと思います。

無良崇人
1991年2月11日生まれ。3歳でスケートを始め、2008年シニアデビュー。主な成績に2013年世界選手権8位、2014年四大陸選手権優勝など。2018年に現役引退を発表、現在はプロフィギュアスケーターとして活動中。

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