髙橋大輔の転向を喜ぶアイスダンスジュニア王者の「推しプログラム」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AFLO

 練習で彼がプログラムを披露するときは、コーチや僕も一ファンとしてジュンの演技を見入ってしまうほど。リンクにいるみんなの目線を釘付けにして、その場の空気を支配する力があります。

 でも、氷から降りたオフアイスでは、明るくてみんなとワイワイしている。オンとオフの切り替えがうまいのかなと思います。

 振付師のウィルソンさんには、自分も2つのプログラムを作っていただきました。2017-2018シーズンのフリー『パガニーニの主題による狂詩曲』と、2019-2020シーズンのフリー『エデンの東』です。

 ウィルソンさんは、一見「この人があの世界的に有名な振付師さん?」と思ってしまうようなかなりラフな服装でリンクにやってくるんです。あまり氷の上で振り付けることはなく、陸の上でウィルソンさんが踊って振り付けたものを、自分が氷の上でやってみせるということが多かったです。そして、最後のブラッシュアップのときになって、ウィルソンさん自身が氷の上に乗って振り付けてくれます。

 日本人の振付師さんでそのような方法で振り付けをする先生がいなかったので、最初は戸惑いましたが、そこがウィルソンさんのすごいところです。陸の上で大ざっぱに振り付けたのに、いざ、音に合わせてやってみると、全部の振りと音が合うのです。やはり、「デービッド、天才なんだ」と毎回、驚嘆させられます。

 振り付け中はジョークとかを言って面白いです。日本語で話しかけてきたり、笑いを取り入れたりして、リラックスできる話しやすい雰囲気にしてくれます。

 ウィルソンさんが作るプログラムは、綺麗な美しい曲やゆったりしたスローな曲のときに真骨頂が発揮されると自分は思っています。音が伸びているときに振り付けがぴたりとはまり、それがすばらしくマッチしている。その部分が見られるのが、ジュンの『イル・ポスティーノ』のコレオステップシークエンスのところです。

 シングルとアイスダンスの二刀流に取り組んだ2019-2020シーズンは、すべての大会や経験が新鮮でした。あっという間に1年が過ぎて、充実した1年が過ごせて、結果を残すことができてよかったと思います。将来の自分には自信になり、大きな糧になったと思います。

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