羽生結弦が全日本選手権で見せたプログラムへのこだわり
全日本選手権SPで首位発進の羽生結弦 羽生結弦は、全日本選手権大会前日、12月18日の午後に帰国。その日行なわれた公式練習には出ず、初練習となった19日昼の公式練習では4回転ループや4回転サルコウ、4回転トーループ+3回転トーループなどは決めていた。だが、動きの悪さは歴然で、11月のNHK杯からグランプリ(GP)ファイナル、そして今回の全日本まで中1週ずつというハードスケジュールで迎えた3試合目は、疲労もかなり蓄積していた。
「はっきり言って、ファイナルのあとは調整もできてないです。ここへ来ての最初の練習でわかったと思うんですけど、よくあそこまで戻ってきたなという感覚でもあったので。4回転ループもほとんど跳べていなかったのでフリーに向けての不安はもちろんありますけど、とにかく一歩ずつ。少しでもトレーニングをしながら、休みを取りながら、ということを常に心がけてやってきました」
2週間前のGPファイナルではショートプログラム(SP)でミスをして出遅れたあと、羽生は翌日の公式練習でフリーへの影響があるのを承知しながら、4回転アクセルに挑戦した。そしてフリーでは、4回転ルッツを入れた4種類5本の4回転の構成に挑戦。終盤の連続ジャンプでは崩れたが、持てる力のすべてを振り絞る演技をして気持ちもひと段落ついていた。
「スケートに気持ちが向かないということはなかったですけど、ただ、わりとヘコんでました(苦笑)。フリーに関してはある程度は『やったな』と思っているんですけど、思ったより消耗も激しかったです。やっぱりあの構成を滑り切れていないので消耗も激しくて、『またすぐ試合か』というような感覚でいました。実際にこうやって日本で練習する時とか、ファイナルでもらった応援メッセージなどを見ながら何か、ひとりのスケートじゃないなと思った。何とかそこでその力をもらって、自分の力をつないできた感じです」
SP後にこう話していた羽生だが、最初の公式練習ではSPの構成をこれまでとは変える様子を見せていた。最初に4回転サルコウを跳んだあとに、トリプルアクセルではなく4回転トーループ+3回転トーループを入れ、トリプルアクセルを最後に持ってくる構成での滑りをしていたのだ。
羽生は、後半の4回転トーループからの連続ジャンプは、ファイナルの時も「今の曲にジャンプがなかなかハマらないので、何か考えなくてはいけないと思っている」と話していた。
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