「活動休止」「撤回」...17歳の
ザギトワに何が起きているのか (2ページ目)
ザギトワがたとえ技術点では負けても、シニアとしての表現力を評価する演技構成点では大差がつくはずだと考えていたスケート関係者も多かった。しかし、実際にGPシリーズが始まってみると、ロシアの新鋭たちと、ザギトワや紀平らの演技構成点はわずかな差しかなかった。高難度のジャンプを跳んだ選手が高得点を引き出し、それにつられるように演技構成点もそれなりの得点が出ていた。
ザギトワの今季GP初戦であるフランス杯を取材した時に感じたことがいくつかある。
まず、確信したのは、審判員が、若い才能の持ち主であるアリョーナ・コストルナヤに対して高い評価をしていたことだ。この新星の演技に対する出来ばえ点(GOE)の加点はかなり高めだった。すでに五輪女王のザギトワと同等のレベルと判断され、甲乙つけがたい演技を見せているというジャッジングをしていたことが、2人の得点を比較してみるとわかる。
ザギトワについて言えば、昨季は身長がぐっと伸びた感じを受けたが、今季は全体的に肉づきがよくなって、とくに上半身のサイズが増したように見えた。この体型変化によって、以前よりもかなりの前傾姿勢を取ってからジャンプを跳んでいた。おそらく、高さを出すためには、反動をつけないとそれに見合うジャンプ力が出なくなっていたのではないだろうか。
いくら厳しい節制をしても、15歳の時と比べると明らかにふくよかになっており、体重も増加しているだろう。それによってジャンプの調整が難しくなり、精神的ストレスやプレッシャーが相当かかっていたように思う。
その一方で、今季は、後輩スケーターとの勝負に苦戦を強いられ、後塵を拝する経験を3度も味わった。フランス杯とNHK杯でコストルナヤに20点もの大差をつけられ、極めつけがGPファイナルだった。コストルナヤ、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワという初参戦の3人が表彰台を独占。ザギトワはフリーで5つの回転不足を取られ、自滅とも言える演技で最下位に終わった。
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