自身の苦戦に驚いた羽生結弦。「ぜんぜん引退しないです」と明言 (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そんな思いを持ちながらも、今回はその第一段階として、少し手直しをしただけの構成でノーミスを目指した。そのため、若干、守りに入った気持ちがショートとフリーのミスにつながったのかもしれない。だがそれでも、彼にとって最大の危惧であるケガの回避という点では、正しい判断だったと言える。

 無理することなく、その日の体調や氷のコンディションで最良と思える構成に挑戦する冷静な判断。それが、今の羽生結弦には最も必要なことだからだ。ムキになって攻めまくるのではなく、しっかりと自分の足元を見つめ、さらなる進化を遂げようとする羽生にとって、この試合は次への重要な一歩になった。

「ぜんぜん引退しないですからね、まだ」と、明るい表情で宣言し、2022年北京五輪への思いも口にした羽生。次の目標は、これまで3回出場しながら3回連続2位でまだ勝利を挙げていない鬼門、スケートカナダ。そこでノーミスの演技をして初勝利を挙げることだ。

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