羽生結弦の今季、五輪後はフワフワ。チェンに敗れて再び火が灯った

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

ケガに苦しみながらも挑戦し続ける羽生結弦ケガに苦しみながらも挑戦し続ける羽生結弦 世界選手権後に、「正直な話、五輪の後から今シーズンの初めまではフワフワしていて、目的が定まってなかったのかなという気がしていた」と明かした羽生結弦。そんな気持ちが定まったのは、シーズン初戦のオータムクラシックを不本意な演技で終えてからだった。

 ショートプログラム(SP)は、3本目の4回転トーループ+3回転トーループは耐える着氷になったうえ、後半に入っていると認められず1.1倍のボーナス点を獲得できず、シットスピンも0点になってしまった。そして、フリーでは後半のジャンプでミスを連発したものの、合計263.65点で優勝した。

 その結果に羽生は「単に自分の実力不足が出ているという感触があります。ショート、フリーともに本当に自分が滑りたかった曲でプログラムを作っていただき、そして自分が今できることをプログラムの構成として入れ込んでいるので、本当に自分が楽むという気持ちが強く出ている。そんな自分が滑りたかったプログラムに対して(自分の)の実力が、あまりにも足りないと思います」と反省しきり。

「五輪が終わってからちょっと抜けていた気持ちが、また自分の中に灯ったなと思う。本当に火をつけられたような状態になった」

 すると、2戦目となるグランプリ(GP)シリーズのフィンランド杯では、羽生の滑りがガラリと変わっていた。

「オータムの前までは4回転アクセルも結構練習をしていましたが、オータムの結果を受けて『今はこの練習をしている場合じゃないな』と気づかされた。やっぱり試合で勝たなければ意味がないというのが、自分の中でのすごく大きなスケートをやる意味になった」

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