低迷する本田真凜の現在地。「心と技術がぴたっとはまる」のはいつか (4ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 アメリカで練習を積んできたという本田が、どんな変化を見せてくれるのかと期待したが、厳しい言い方になるが、ほとんど何も変わっていなかった。

 本田は演技後、絞り出すように言葉をつないだ。

「今季はなかなかに何位になりたいとか、何点を取りたいというように試合に対しての目標が決められないような演技ばかりだった。シニアに上がった昨季はスケートがきついなと思うことが多かったんですけど、いまはスケートにしっかり向き合ってやっていますし、1回リセットしないといけないと思って決めた道なので、逃げずに攻めていきたいと思います。

 とにかく腐らずに、こういう状態になることはわかっていた決断だったので、来年の全日本では笑って終われるように、これからの1年間を過ごせたらいいなと思います。(アルトゥニアン)コーチからは、『今季は思った以上によかったよ』と言われたので、自分ではなかなか思うようにいかなくて焦る気持ちがあったんですけど、いまは本当に自分の意思は捨てて、コーチと周りの方々を信じて頑張りたいなと思います。来季は目標が立てられるような演技をしたいです」

 才能とセンスで好成績を挙げられるのはジュニアまでで、シニアになれば、心技体を磨いていける努力と高い向上心がそろわなければ世界のトップ争いに加わることはできない。そのことは、これまで世界の舞台で活躍してきた荒川静香、浅田真央ら、一時代を築いた選手を見れば一目瞭然だ。浮き沈みが激しい本田について、昨季まで指導していた濱田コーチは、昨年のスケートカナダでこんな叱咤激励の言葉を漏らしていた。

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