宇野昌磨は奮闘を続ける。「羽生選手のようにならなきゃいけない」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 だが、終盤の得点源である連続ジャンプはふたつとも最後のジャンプで着氷を乱してしまい合計は275.10点。チェンを追い上げることができず2位。初優勝を逃す結果になった。

宇野はフリーで追い上げられず今年もファイナル2位宇野はフリーで追い上げられず今年もファイナル2位「4回転サルコウも調子が上がっていたので、もうちょっといいジャンプにしたかった。単発のジャンプはわりと力を抜いた状態で、いつもどおりを再現できたかなと思うけど、コンビネーションになった時に、ひとつ目のジャンプのあとにどうしても力が入ってしまう。着氷する場所がいつもとはちょっと違ったかなという印象です。今回は結果を求められていることも自覚していたので、それに応えられたらという思いはあったけど、やはりこのような演技では結果を得られることはできなかったということです」

 こう話していた宇野は、一夜明けると「いくつか取材を受けていて思ったのは、自分を信じることがこんなにも難しいんだなということでした」と苦笑いを浮かべた。

「アクセルとトーループは当たり前に失敗しない自信のあるジャンプだったので、それを立て続けに失敗した時にちょっと自信をなくして...。フリップやサルコウの調子の悪さだったらいつもどおりというところもあるけど、今回は(カナダに)来るまで調子がよかったからこそ、そこで悩んでしまったのではないかと思います。いつもだったら心配しないくらいの失敗を、調子がよかったから気にしてしまった。結果を出したいと思っていたので、そのプレッシャーもあったのかもしれません」

 これまではどの大会でも「楽しむことを目指す」と口にして、タイトル獲得もそれほど意識することはなかった。自分の演技に集中すれば、結果はついてくると考えていた。だが、今季は初戦からそんな考えではなく、結果も出して自分の演技をすることも求めるようになっている。「今は自分で自分にプレッシャーを与え、それを乗り越えたいと思っている」と宇野は話す。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る