2018.11.19

GP連勝。負傷した羽生結弦がロシア大会フリーに出場した理由

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 以前、羽生結弦はこう言っていた。

「普通にやれればいいんですけど、それがなかなか普通にいかないんです」

 11月17日のグランプリ(GP)シリーズ・ロシア大会(ロステレコム杯)男子フリーでは、そんな”普通にいかない”事態が起こってしまった。

SPで今季最高得点を記録した羽生結弦 前日のショートプログラム(SP)は、羽生がその力を存分に発揮した。最初の4回転サルコウは少し力を入れて跳んだ前戦のフィンランド大会とは違い、鋭くキレのあるジャンプ。GOE(出来ばえ点)で4.30点の加点をもらい、羽生自身も「スコア以上に自分の中の感覚がすごくよかった。公式練習でもフィンランドでもできなかったけど、降りた足でそのままカウンターをするなど、自分でも納得できる形でトランジションにつなげられたので、すごく満足しています」と語る出来だった。

 続くトリプルアクセルもきれいに決め、4回転トーループ+3回転トーループは3回転の着氷で少し止まりかけたがうまく流れを作って次につなげ、3.12点の加点をもらった。そこからは羽生がとくに思いを込めているパート。フィンランドより感情を込めて滑ったスピンを、羽生はこう説明する。

「リンクサイドでタチアナ・タラソワさんが立って観てくれているのが見えた。自分が憧れたプログラムのひとつであるジョニー・ウィアさんの『秋によせて』の振り付けをしたタラソワさんが見てくださっているというのは非常にありがたいことです。

 あとは2011-12年の『ロミオとジュリエット』の手直しをしに来た時にお世話になった、振付師のイゴール・ボブリンさんご夫妻も、終わった時に正面の席でスタンディングオベーションをしてくださっていた。そういう方たちが見てくださっていたという意味もあって、すごく感情は込もったと思います」