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浅田真央の引退に鈴木明子が想う。
「あのプログラムが好きでした」 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 能登直(浅田)、是枝右恭(鈴木)●撮影 photo by Noto Sunao, Koreeda Ukyo

「もう限界」というところまで行けたのは、休養からもう一度、競技に戻ってきたから。そうでなければ、わからなかったはずです。ソチオリンピックのあとに引退して、「まだやればよかった」と思うより、実際にやってみていろいろなことを経験したことに大きな意味がある。

 私は、戻ってきてからのプログラムがすごく好きでした。無駄な力が抜けていて、ジャンプにもスケーティングにも無理がない。無駄を省いて最高の力を出すことができるようになりました。休養中に彼女が何を見て、何を考えたのかはわかりませんが、スケート以外の経験が演技に出ていたと思います。

 いつもトリプルアクセルが注目されましたが、彼女のステップは今の10代の選手では踏めないもの。絶妙な間の取り方、身体の動き、スタイルのよさ、天性の明るさ、表情は彼女にしかないものでした。誰にも真似ができません。

 2010年バンクーバーオリンピックで銀メダルを獲って、2014年ソチオリンピックで6位に終わったというところだけ見ると、成績が落ちたと思うかもしれませんが、そうではありません。最後まで登り詰めて競技を終えたのだと、私は考えています。どれだけ騒がれても、おごらずに、自分のやるべきことを考え、真剣に取り組んできました。

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