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浅田真央の引退に鈴木明子が想う。
「あのプログラムが好きでした」 (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 能登直(浅田)、是枝右恭(鈴木)●撮影 photo by Noto Sunao, Koreeda Ukyo

 それほど、いつも崖っぷちにいたんですね。ポンと押されたら落ちてしまいそうな精神状態だったし、肉体的にもギリギリでした。いつも注目され続けた彼女なら、なおさらでしょう。普通の生活をしてみて、「自分がどれだけがんばってきたか」を実感するのではないでしょうか。

 これまで、彼女の笑顔でどれほどの人が救われたでしょうか。いろいろな人の夢を託されて......。失敗もするけれど、そこが人間らしい。人間臭いのに、人間離れした演技をするから、みんなから愛されてきたのでしょう。

 誰よりもドラマチックでしたよね。あの生き方は、彼女以外には耐えられなかったかもしれません。それでも「つらいと思ったことはない」と言えてしまうのだから、本当にすごい。浅田真央というスケーターと同じ時代に生きられたことを、私は誇らしく思います。


【profile】
鈴木明子(すずき・あきこ)
1985年3月28日生まれ、愛知県豊橋市出身。6歳からスケートを始め、15歳で全日本選手権4位に入賞して注目を集める。2010年バンクーバー五輪では8位に入賞し、2012年の世界選手権で銅メダルを獲得。2013年の全日本選手権では会心の演技で初優勝。2014年のソチ五輪は団体戦で5位入賞、個人戦で8位入賞を果たす。2014年の世界選手権出場を最後に競技生活からの引退を発表した。現在はプロフィギュアスケーター、振付師、解説者として活動の幅を広げている。

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