浅田真央の師、佐藤信夫コーチが語る「ものすごいスピン」とは? (4ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 腰を基点に上半身と下半身が「く」の字になることによって、重心が1本のブレードの上にくるのです。後方に反らした頭と、前方に張り出したお腹のそれぞれの重力がバランスを取れていれば、レイバックスピンはできます。この姿勢で回るときに、手の位置をどうしたら楽になるかというようなことは、何回かやっていれば見つかるものです。

 いいスピンとは何か。ひとつ間違いなく言えるのは、軸が流れないことです。同じポイントでずっと回っているスピン。それこそ蚊取り線香です。軸足が流れるのはよくないのです。そしてやはり回転が速いこと。逆に、ゆっくりちゃんとポジションを作って回れるということも比較としての技術になります。つまり、途中で回転スピードを変えられるということですね。

 ポイントはいろいろありますが、やはり一番大事なのは、見ていて素敵であるということ。見ている人の目が引きつけられるということじゃないでしょうか。

 中には人間業とは思えないようなポジションを取りながら回れる人もいますよね。僕と同時代のフランス人に、ニコル・アスラーという女性スケーターがいました。彼女が回り始めたら、その人の顔がかげろうのようになって見えるんです。

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