浅田真央の師・佐藤信夫コーチに学ぶスピン。「誰でもできて、難しい」 (4ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 スピンの基本動作というのは、グルグルと蚊取り線香の中心の軸に向かっていき、ターンをして前向きから後ろ向きに変わり、そこで左回りの小さな円を描くことです。

 そしてスピンの回転スピードを上げていきます。身体のセンターをしっかり出して、両腕を左右に開いてバランスが取れたら、あとは手と足を少しずつ内側に締めてあげると、嫌でも回転は速くなります。手足をギューッと締めてあげれば、だんだん円が小さくなっていきます。小さくなってくると、1回転するスピードが変わってくる。滑っているスピードは一緒だけど、軸を細くすれば回転スピードが上がる。それがスピンの真髄です。

 たとえ話をすると、振り子がコチッ、コチッと左右に動く柱時計があるじゃないですか。あの時計の時間調整をどうやってやるのか、ご存じですか? 「時計が遅れるんですけど」と言えば、時計屋さんはその振り子を少し短くします。そうすると振り子はカチカチと、速く動くようになります。逆に「進みすぎなんですけど」と言えば、振り子を長めに調整してゆっくり動くようにします。振り子を短くすれば動きが速くなるということは、氷上で水平に広げた左右の指先から指先までの距離を短くしてあげれば、体の回転は速くなるということです。

 スピンは基本的に、どんな方でも普通にできる技なんです。ジャンプは、やはりジャンプ力など、ある程度の運動能力がないとできない。だけどスピンは、どんな人も目をつぶらない限り平衡感覚があるじゃないですか。だからどんな人でも回れるようになります。

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