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浅田真央の師・佐藤信夫コーチに学ぶ
スピン。「誰でもできて、難しい」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 このトゥピックのギザギザは、フィギュアスケートの技をするうえで非常に重要なものです。ジャンプを跳ぶときもそれを利用しています。アクセルジャンプはトゥピックで氷を引っ掛けた勢いで、スピードを利用して前方に跳んでいきます。大急ぎで歩いていて、足が何かに引っかかったら体が前に飛んでいくようになるでしょう。あの状態で空中でクルッと回れば、アクセルになるわけです。

 現在のスケート靴が生まれたことで、フィギュアスケートの可能性は広がった。それぐらい道具の改良というのは大きいのです。
 
 それではスピンについて、です。フィギュアスケートの原理というのは物理ですから、その観点からスピンの基本についてお話しします。

 スケートというのは、右か左かに体全体で傾斜をつけますと、自然と動くようになっています。10円玉を転がすと、必ず右か左に傾きます。傾いた方向に10円玉は回ります。一般的にスピンは圧倒的に左回りのスケーターが多いのですが、10円玉が左に回っていく姿を頭に入れておいてください。

 大きな円を描きながら回っていても、そのままじっとしていれば摩擦抵抗でスピードが落ちてきます。傾斜が変わらなければ、円の半径が小さくなり、渦巻きの形のように動くことになります。ルーレット盤に球を入れると、回転力がある間は端の高いところに留まっていますが、回転力が遅くなってくると、やがて重力のほうが勝って球はコロコロ転がり始めるのと同じことです。

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