「勝って当然」を勝った宇野昌磨が、全日本で手にした貴重な経験値 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

「3回転サルコウを跳ぶ瞬間はコンビネーションにするスピードまでにはなっていないと思い、単発にするつもりでした。だから、あそこで樋口先生の声に反応せず3回転サルコウだけで終わっていたら、その後の涙はなかったと思います。頑張ってきたことが無駄じゃなかったというか、努力したことや頑張りが報われたということが、すごくうれしかった」と話した。

 前日のショートプログラム(SP)で、宇野は最初の4回転フリップで着氷を乱し、3回転トーループをつけることができず、次の4回転トーループでは転倒して88・05点の悔しい2位。トップはノーミスの演技をした無良崇人だった。

 SP首位の無良は、「ショートが終わった時点で昌磨が2点差で追いかけてくる状況だったので、優勝を考えるよりも自分がどれだけまとめあげて対抗できるかと考えていた」と、冷静だった。その無良のフリーの演技は、最初の4回転トーループと次の4回転トーループ+2回転トーループ、トリプルアクセルを確実に決める順調な滑り出し。

 だが、4回転を回避して3回転にしたサルコウを跳んだあと、後半に入ってすぐのトリプルアクセルが2回転半になってから狂いが生じた。次の3回転ループをトリプルアクセルに変更したが着氷が乱れてセカンドをつけられず、その後の3連続ジャンプも最初の3回転フリップがダウングレードになり、最後のジャンプのルッツは2回転とミスを連発してしまった。

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