羽生不在の全日本フィギュア。無良は先輩の意地を宇野に見せられるか? (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 そんな気持ちで挑戦していたからこそ、その後はミスを引きずることなくスピンはしっかりレベル4でGOE加点をもらう出来にし、「絶対跳ぶぞ」という気持ちで跳んだというトリプルアクセルをキッチリ決めて88・05点を獲得できたのだろう。

羽生不在の全日本男子SP首位に立ったのは無良だった羽生不在の全日本男子SP首位に立ったのは無良だった そんな宇野に対し「ユヅがいない試合の中で、どれだけ自分の存在感を強くアピールできて終われるかというところだという気持ちになれた」という無良崇人も、その意地を見せつける演技をした。

「ジャンプの状態もいい調子を維持できていて、ある意味『落ち着いてやるだけかな』という気持ちでいたので、プログラムのことをすごく頭に置いて滑ることができた」

 こう話す無良は、最初の4回転トーループでは「転倒するという感覚は全然なく着氷することができましたが、あれがギリギリ立っていられる限界かなと思うジャンプだった」と言うように、セカンドの3回転トーループをつけることができなかった。それでもこの日の無良は落ち着きを失わなかった。その後のトリプルアクセルをきれいに決めると、フライングシットスピンのあとの3回転ルッツにキッチリと3回転トーループをつけてカバー。

 また、ステップは「フランス杯では4回転トーループで転倒したことで、ステップの動きが小さくなってしまった。だから、振り付けを手直しして、コースの取り方も変えて動きも足して練習を積んできた。お客さんが盛り上がってくれてよかった」という納得の出来で90・34点を獲得。宇野に2・29点差を付けてトップに立った。

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