「平昌を目指す」浅田真央。来季、そして五輪メダルへの可能性は? (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 25歳になった元世界女王が、一気に世代交代が進んだ世界の女子フィギュア界でどこまでやれるのかは未知数だったが、一方ではまだやれるのではないかという期待も高まった。

 迎えたシーズン初戦のグランプリ(GP)シリーズ中国杯でいきなりの優勝。やはり、リンクから離れても国民的アイドルとして人気が衰えることのなかった彼女ならではの「何かを持っている」スター性を見せつけた。

 この日本選手GP最多勝利(15勝、ファイナル4勝を含む)から、右肩上がりに調子が上向くかと思いきや、その後は下降線をたどるような結果となった。それでもGP2戦目のNHK杯で表彰台を死守し、GPファイナルに進出したあたりは、その実力がまだ通用することを示したと言えるだろう。だがそのGPファイナルの結果は最下位に沈む。本格的に練習を始めてからわずか4カ月。心技体を完全に取り戻すには時間が足りなかった。

 試合に対する気持ちの持っていき方や練習の取り組み方、気持ちと体のバランスの調整、競技者としてのコンディションづくり......本来であればいま置かれている状態をしっかりと把握し、25歳の彼女に合ったやり方を模索することが必要だったはずだ。ところがシーズン初戦を制したことで、かえってさまざまなギャップが生じていたことを見逃したままとなり、確固たる自信を掴みきれなかった。それがシーズン中盤での失速につながったに違いない。

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