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四大陸選手権4位。宇野昌磨が見つめ直した自身の課題 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 さらに、グランプリファイナルまでは3回転に抑えていた3つ目のトーループを4回転にしてきれいに着氷した。後半は3回転+3回転やトリプルアクセルが入らないプログラム構成ながら、各ジャッジのGOEがほとんど2点か3点という完成された演技を披露した。

 結果、技術点は106・85点でボーヤン・ジンに4点弱の差をつけられたが、演技構成点は97・14点でトップ。得点は史上3人目のフリーでの200点超えとなる203・99点を獲得した。合計ではボーヤン・ジンを0・38点逆転するごぼう抜きで優勝を決めたのだ。

 宇野を指導する樋口美保子コーチは、今回のチャンとの演技の差を「(宇野は)気迫が足りない。感動が薄い」と評価した。

 また、宇野自身はこう分析した。

「ボーヤン選手の演技もすごく印象に残りましたけど、パトリック・チャン選手の『やってやるぞ!』という気持ちがすごく伝わって来る滑りの方が心に残りました。それに比べると、僕は危機感を持てていなかった。自分の演技が終わってから『演技は悪くなかったのに、何でこんなに変な気持ちなのかな……』と腑に落ちないものがあったのでいろいろ考えて……。もちろんジャンプの失敗は悔しかったですけど、それだけじゃない悔しさがある、と考えました」

 SPで失敗したグランプリファイナルでは、フリーは危機感を持って滑れた。だが、それ以上にシーズン初戦の『USインターナショナルクラシック』で惨敗した後、ジャパンオープンでは危機感があって、本気で「やってやるぞ!」と思っていた。その気持ちが、その後いい成績を残すことによって「悔しさや危機感が徐々に薄れてきたのではないか」と言う。

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