2014.01.28

羽生結弦らのメダルを脅かす、
強敵パトリック・チャンとふたりの伏兵

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 ソチ五輪で、羽生結弦と髙橋大輔のダブルメダルへの期待も高いフィギュアスケート男子。その最大のライバルはやはり、世界選手権3連覇中の王者パトリック・チャン(カナダ)であることは間違いない。

12月のGPファイナルで優勝した羽生結弦 昨年12月のGPファイナル(福岡)で、羽生はそのチャンに勝利している。歴代世界最高得点をマークしたショートプログラム(SP)では、ジャンプでミスを繰り返したチャンに12点超の得点差をつけた。フリーでは、最初の4回転サルコウで転倒しながらも、その後しっかり立て直して193・41点を獲得し、合計293・25点で優勝。4回転+3回転が4回転+2回転になるなどの細かなミスをしていたチャンを、SP、フリーともに上回る勝利だった。

 だが、昨年11月のフランス杯でのチャンの演技のすごさは、ファイナルでの羽生の勝利以上に、強烈な印象を残すものだった。

 フランス杯でのチャンは、SPでは、4回転トーループを含むジャンプすべてを余裕を持って決め、98・52点の歴代最高得点(当時)を獲得。取りこぼしは、前半のチェンジフットキャメルスピンがレベル3に止まり、GOE(技の出来ばえ)が0・64点に止まったことだけ。ここをきっちりレベル4にしていれば、99点台が確実に出る演技だった。

 さらに、チャンはフリーで2度の4回転トーループを決めると、重厚ともいえる滑りで完璧な演技を見せ、196・75点を獲得した。しかも演技構成点では"演技表現"でジャッジ9人中4人が10点満点を出し、"音楽の解釈"でも4人が10点満点を出したほど。最も得点が出にくい"演技のつなぎ"でも、5人が9・50点を出して3人が9・25点。審判による点数のバラツキのなさは圧倒的で、ほぼパーフェクトな演技だった。

 得点でいえば、ファイナルでの羽生の合計は293・25点であり、これはチャンがフランス杯で出した295・27点に2・02点及ばないだけで、ソチ五輪でも十分勝負ができる可能性がある。だが、今シーズンのグランプリシリーズ各大会の得点の出方を見ていると、上位の選手は昨季より高い点が出ている傾向があり、今シーズンの得点だけでは推し量れない部分もある。