【フィギュアスケート】ペア不在!?日本のソチ五輪団体戦はどうなるのか

  • 辛仁夏●文 text by Yinha Synn
  • photo by Nakamura Hiroyuki

昨年の世界選手権で銅メダルを獲得したペアのスペシャリスト、高橋成美。ソチ五輪出場を目指す昨年の世界選手権で銅メダルを獲得したペアのスペシャリスト、高橋成美。ソチ五輪出場を目指す 先週末に行なわれた世界フィギュア国別対抗戦。昨年優勝している日本は、男女シングルで髙橋大輔と鈴木明子が1位になるなどの奮闘を見せたが、ペア不在の影響は大きく惜しくも3位に終わった。

 今回の大会は、来年2月のソチ五輪で正式種目となる団体戦の競技方法と違い、男女シングルの選手が各2人出場でき、ペア とアイスダンスは各1組が参加して争われた。だからシングル種目が強い日本は、ペア種目で欠場して得点がなくても、強豪国との勝負ができた。しかし本番のソチ五輪では男女シングルからは各1人、ペアとアイスダンスに各1組が参加して4カテゴリーの総合力で争う。今回の国別対抗戦のようにメダル争いに食い込むことが難しくなるのは必至だ。

 今回の大会で主将を務めた髙橋大輔は「どこの国もライバルになるが、日本がライバルだと思ってもらえるようになるには、カップル競技のペアが鍵になると思う」と語っている。

 シングルでは数々の成果をあげてきた日本だが、もともとペアを"苦手"にしてきた。2002年のソルトレイク五輪から、五輪には3大会連続で出場すらしていない。また、ペアで求められる能力もシングルとは異なる。ペアの男性は上半身の筋力と体力がなければ、女性を頭上に持ち上げることはできない。大柄な男性スケーターが多い欧米勢に分があるのだ。独特のテクニックやタイミングも重要で、男女2人が常に息を合わせていかなければならない。シングルから入る選手が多い日本に比べて、子どものころからペアのスケーターとして育てられた選手が多いアメリカやカナダ、ロシアはこの点でも有利だ。

 そんな中、2012年の世界選手権では、日本代表としてカナダ人のマービン・トランと高橋成美のペアが出場、銅メダルを獲得。これでソチ五輪団体戦への期待が一気に膨らむことになった。だがトランは日本国籍を取ることができず、五輪への出場は困難に。方向性の違いもあり、2人は昨年12月にコンビを解消した。日本は競技会に出場できるレベルのペア選手が不在となってしまったのだ。

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