フィギュア日本男子、3枠は確保。ソチ五輪までに必要なこと (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Yinha Synn
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 世界選手権前にこれまでないほど「凄まじい」練習に取り組み、体重も2キロ絞り、大舞台への準備を怠らなかったにもかかわらず、今回はその成果をほとんど出すことができなかった。そのことについて、周囲の驚き以上に、本人が一番、混乱している様子だった。

「まったく自分のやってきたことが出せなかった。フリーではジャンプが決まらず焦ってしまった。気持ちだけが先走って前に前に行き過ぎてしまい、気負い過ぎたところがあった」

 フリーでさらに順位を下げ、総合6位。翌日の16日に27歳の誕生日を迎えた髙橋にとっては、今後、目指す大会に向けてどう調子のピークを持っていくか、コンディショニングが大きな課題になりそうだ。

 今季、急成長を遂げて勢いに乗っていた羽生だったが、一番の目標に掲げていた世界選手権での表彰台は逃してしまった。だが総合4位は日本勢最高。満身創痍の中での戦いを強いられた上での奮闘には拍手を送っていいのではないか。

 四大陸選手権後にインフルエンザで10日間寝込み、練習を再開した直後には左ひざを負傷して1週間休むことになるなど、ほとんどジャンプも跳べず、練習もままならない状況に陥っていた。今大会もひざの痛み止めの注射や薬を服用しながらの出場だった。

「とりあえずはやりきったかな。達成感はある。ノーマルコンディションだったら満足できないところですが、いまの状態での滑りとしては満足です。(ブライアン・)オーサーコーチからは、この1年間練習してきたことは無くなったりしないし、試合になれば絶対に違うから自分の力を信じてしっかりやりなさいと言われた」

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