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【ボクシング】中谷潤人は井上尚弥戦でKO勝利を狙う 充実のLAキャンプでは「技術で凌駕することをイメージしてきた」 (2ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

【「ヤバい場所」で築いた己のスタイル】

 この日、中谷のキャンプ地となったLAボクシングジムでは、米メディア4媒体が思い思いにカメラを回していた。そのうちのひとつ、『Little Giant Boxing』のコンスタンティーノ・ガルシア(36歳)は言った。

『Little Giant Boxing』のガルシア氏『Little Giant Boxing』のガルシア氏この記事に関連する写真を見る
「ジュントはいつも謙虚だね。それでいながら、『絶対にボクシング界で頂点に立ってやる!』という強い気持ちがある。そうじゃなければ15歳でアメリカに渡ってきて、サウスセントラルに住めないさ。僕らLA育ちの人間だって、足を踏み入れたくない地域だもの。つい先日の事件のことも、聞いたでしょう?」

4月2日、ロスアンジェルス市警は、前日の14時30分に発生した銃撃事件に関する声明を出した。トリニティー公園で2名の男性が銃弾に倒れ、病院に担ぎ込まれたのだ。現在も治療中だが、加害者が2人組のメキシコ系であること以外に情報はない。「何かご存知の方は連絡してほしい」と市民に呼びかけている。

 ガルシアは続けた。

「暴行、殺人、ドラッグ、恐喝、窃盗......といったトラブルが日常的に発生する無法地帯さ。ギャング同士の抗争が止まらない。映画『バットマン』にGotham Cityっていうのが出てくるよね。荒廃し、犯罪が蔓延する街として。サウスセントラルって、まさにあんなところさ。

 日本人少年が『世界チャンピオンになる』という夢を持って、全米でも指折りの危険地域に飛び込む。そんなことができるのは、ジュントだけだ。彼には芯がある。唯一無二の闘争心も」

 トリニティー公園は、かつて中谷がホームステイした家の向かいに位置する。5月2日の4冠統一タイトルマッチの挑戦者が暮らした家の玄関から、15mも離れていない。

銃撃事件が発生したトリニティー公園銃撃事件が発生したトリニティー公園この記事に関連する写真を見る

 中谷が目標に向かって走り出した場所とは、アメリカンでさえ恐怖におののく。4月1日の銃撃戦のニュースは、瞬く間に当地を駆け巡った。事件当日、中谷はマネージャーを務める弟の龍人とともにガソリンスタンドでの給油中に、ロスアンジェルス市警のヘリコプターが超低空飛行でトリニティー公園の上空を旋回する様を目撃している。

 だとしても、中谷にとってのサウスセントラルは、あくまでも自分を高めるために降り立った地であり、負の要素は微塵も感じてこなかった。

 中谷は笑みを浮かべながら語った。

「ヤバい場所だなぁ、とは感じます。でも、僕はいつも『何のために、ここにいるのか』を考えて15の時からコツコツやってきました。自分のスタイルを崩したことはありません。それをしっかりやっているからこそ、成長に繋がっています。治安などは気に留めてこなかったです」

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