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「永遠の3歳児」原宿ぽむが振り返る、コミカルなレスラーになった理由「正攻法では勝てない」 (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

【絶対に勝てない敵が、強力な味方に】

 2022年8月12日、マックス・ジ・インペイラーが初来日する。178cm、95kgの巨体と、世紀末を思わせる出で立ちが特徴のミュータント・レスラーだ。

 翌日13日、東京女子プロレス後楽園ホール大会に参戦が決定。シングルマッチの対戦相手はまさかの「原宿ぽむ」と発表され、ファンはどよめいた。

「怖い! デカい! 強い! ミサイル式のドロップキックを放っても、まるで羽虫を払いのけるように受け流されてしまう。プロレスラーとして試合をしてきて、『今のは効いたぞ!』みたいな瞬間ってありますよね。 でも、マックスに対してはマジで一回もなくて。『絶対に敵わない相手っているんだな』とめっちゃ思った。不意打ちをしても効かない。それが過ぎたら、逆に自由になりました」

 その後、インペイラーとの試合が何度も組まれ、次第にインペイラーは、ぽむを"拉致"してパートナーにするなど、心を寄せるようになる。「絶対に勝てないのに、なんで闘わされるんだろう?」と疑問に思っていたぽむも、「味方にすれば心強い」と前向きに捉えるようになった。

「すごい絆があります。闘ってきたぶん、お互いのことをよく知っている。まあ、乱暴に投げられたりもするんだけど、最近は『それで勝てるならいいかな』と思ってます」

 インペイラーとタッグを組んだことで、原宿ぽむはさらに自由になれた。そして2024年11月、そんな彼女に、運命を変えるような"またとないチャンス"が訪れる――。

(後編:自分のなかにある陰と陽 「最後まで茶化したいけど、スイッチが入ってしまう」>>)

【プロフィール】

原宿ぽむ(はらじゅく・ぽむ)

3月27日生まれ。"永遠の3歳児"を自称し、原宿系ファッションと自由奔放なファイトスタイルで人気を集める。2018年11月24日、成増アクトホール大会にて、坂崎ユカ戦でデビュー。当初はシリアスな試合を目指していたが、己の非力さを自覚し「ちょけて勝つ」戦術に路線変更。2022年からは米国の大型レスラー、マックス・ジ・インペイラーとの異色タッグで注目を集めた。2023年11月、タイのSETUP Pro Wrestlingにて初のシングル王座「SETUP認定オールアジア女子王座」に挑戦し、マッチャを破って初戴冠。写真撮影や衣装作りなど多才で、東京女子の選手たちを撮影した「ぽむとれーと」も話題に。163cm。

【大会情報】

■大会名:SUMMER SUN PRINCESS '25
■日時:2025年7月21日(月) 開場 13:00 開始 14:00
■会場:東京・大田区総合体育館
■対戦カード:
○アンドレザ・ジャイアントパンダ&らくvs井上京子&原宿ぽむ
○プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
<王者>瑞希vs荒井優希<挑戦者>
○プリンセスタッグ選手権試合
<王者組>中島翔子&ハイパーミサヲvs辰巳リカ&渡辺未詩<挑戦者組>
○インターナショナル・プリンセス選手権試合
<王者>鈴芽vs宮本もか<挑戦者>
■詳細:SUMMER SUN PRINCESS '25 | 東京女子プロレス公式サイト

著者プロフィール

  • 尾崎ムギ子

    尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)

    1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。

【写真】東京女子プロレス 原宿ぽむフォトギャラリー

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