山中慎介が語るバンタム級の新たな覇権争い 比嘉大吾や那須川天心、「神の左」の後継者も (2ページ目)
――WBAは、暫定王座を廃止する方向で動いていたはずでしたが......。
(※)WBA(世界ボクシング協会)は2021年8月25日、暫定王座を廃止することを発表。なお、日本ボクシングコミッション(JBC)は正当な理由がないWBA暫定王座を世界タイトルとして認めていない。
「実際は暫定王座を作っているわけですから、団体の信用も失いますし、王座の価値も損なうことにもなると思います。なにより、ファンをガッカリさせるようなことはしてほしくないですね」
――バンタム級は、WBC・IBF統一王者の中谷選手が階級を上げれば、2つの王座が空くことになります。世界前哨戦に勝利した那須川天心選手、そして前WBA王者の井上拓真選手らが、今後どう絡んでくるのか注目ですね。
「天心選手は世界前哨戦に勝ったわけですから、最優先でタイトルマッチに絡む可能性は高いと思います」
【天心の強みと理想のスタイル】
――天心選手のビクトル・サンティリャン戦はどうご覧になりましたか? 倒したかったけど、倒しきれなかった?
「そうだと思います。パンチに体重がしっかり乗っている感じではなかったですね。接近戦での攻防は、練習してきたことを出せたと思うんですが、その時間帯がちょっと長すぎたかなと。あの距離だと、パンチに体重が乗りにくいこともあると思います。
天心はもともと、距離を取ってフットワークを生かすスタイルが持ち味ですし、もう少し自分のリズムを作ってもよかったのかなと。体全体を使ってパンチを打って、衝撃を伝えることもできる選手ですから」
――近距離でのワンツーはいいタイミングで入っていたと思いますが......。
「クリーンヒットしていたんですが、サンティリャンも上体が柔らかくて、うまく力を逃がしていたので、なかなか効かせるまではいかなかったですね」
――近距離だけでなく、天心選手らしい距離感やフットワークを生かして戦えれば、よりよかったというところでしょうか?
「そうですね。近距離での戦いとフットワークを生かした動きを織り交ぜられるとよかったのかなと。天心のプロボクシング4戦目、ジョナサン・ロドリゲス戦(3ラウンド、TKO勝利)で見せた、大きく踏み込んで体重を乗せたパンチ、ああいった打ち方もできるわけですから。いろんなことができるので、引き出しの使い方がポイントになりますね」
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