井上尚弥vs中谷潤人、山中慎介が考える勝負のカギは? モンスターが「左フック」を被弾する理由も分析 (3ページ目)
――確かに、距離が近いなかで、相手が沈み込んで低い位置から繰り出す左フックという点が共通していますね。カルデナス選手は、ダッキング気味に井上選手の前足の外側へ出ながら放った印象でした。
「そうですね。カルデナスの場合は狙っていた左フックというよりも、とっさの反応で打った感じでしたが、井上の被弾は、相手が頭を下げて低く入ったところでの左フックという共通点はあります」
――そのあたりは、9月14日に名古屋で予定されているムロジョン・アフマダリエフ戦(現WBA同級暫定王者)に向けて、対策してくると思われます。
「アフマダリエフはサウスポーなので、井上戦に左のパンチをしっかり用意してくると思います。もちろん、それに対して井上陣営も、しっかり対応策を練ってくるでしょう」
――アフマダリエフ選手はリオ五輪で銅メダルに輝くなど、アマチュアでの実績もありますが、強みはどこにありますか?
「まず、フィジカルが強い。対戦した岩佐(亮佑)も、『対戦した相手のなかで一番パンチがあった』というくらいですから。スピードというよりは、体の強さを生かして、ゴツゴツとパンチを打ってくる印象です」
【井上vs中谷、勝負のカギは?】
――井上選手はアフマダリエフ戦をクリアすると、12月にも試合が予定されていると報じられています。そしてその先には、中谷選手との対戦が予定されています。現時点で、井上vs中谷は、どのような展開になると予想されますか?
「これは本当に難しい。中谷は、いろんな戦い方ができますが、まったくパンチをもらわないわけではないんです。ですから、井上ほどの一発があったら......とは思ってしまうんですよね」
――井上選手が一瞬で繰り出すスピードと破壊力がある攻撃に対して、中谷選手のディフェンス力や耐久力がどこまで通用するか、というところでしょうか。
「そうですね。仮に、今すぐスーパーバンタム級で戦えば、まだ井上がやや優位かなと思いますが、その差はかなり詰まってきている印象はあります。2人の試合は来年春とも言われていますが、その間の時間がどう影響するのか。
特に中谷には若くて勢いがあります。おそらく井上戦の前にスーパーバンタム級で一試合挟むことになるでしょうから、そこでどれだけ階級にフィットできるかがカギになるでしょうね」
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