中谷潤人は井上尚弥と戦う前に統一戦へ 山中慎介が他のバンタム級日本人王者のなかで「一番の強敵」に挙げたのは? (3ページ目)
【どの階級、タイミングでやるのかが重要】
――バンタム級の4人の日本人チャンピオンが、ついに動き出しましたね。
「中谷としたら、その先にある井上尚弥との戦いに向けて、強さを見せつけて勝ちたいところでしょう。一方の西田もチャンピオンとしての意地がありますし、自信もあるはず。今後のバンタム級戦線を占う、大きな一戦になりますね」
――中谷選手は、来年にも井上選手とのビッグマッチが実現の可能性があるとされています。
「中谷がひとつ上のスーパーバンタム級に上げれば、より持てる力を発揮できると思います。ただ、どのタイミングでやるのかというのも重要ですよね。スーパーバンタム級に上げていきなり井上とやるのではなく、1、2試合を挟んで適応したい気持ちはあると思います。ただ、井上側にその猶予があるかどうかはわかりません。
とにかく、戦うならお互いがちゃんと適応した状態で戦ってほしいですね。ファンとしても、そのほうがより楽しめる試合になるでしょうし」
――お互いに高いKO率を誇っていますが、パンチ力に違いはありますか?
「井上は瞬間的にパンチを出すスピード、瞬発力がすさまじいです。一方で中谷のパンチは、角度とタイミングが絶妙。どちらも強烈ですが、質は違いますね」
――井上選手は、一度フェザー級に上げて(WBA世界フェザー級王者ニック・ボールと対戦との報道もある)、またスーパーバンタム級に戻るという話も出ていますね。
「フェザー級に上げてすぐに王座挑戦するのも簡単ではありませんが、井上はそれをやってきた選手ですからね。とはいえ、一度フェザー級で体を作って、そこからまたスーパーバンタム級に戻すのは大変だと思います。それでも中谷と戦うために階級を下げるとなれば......それも熱い展開ですね」
――西田選手との統一戦や、井上選手とのビッグマッチなど、中谷選手は話題が絶えませんね。
「バンタム級の覇権を争う統一戦、そして "モンスター"との日本人頂上決戦。どちらの試合も、ボクシング史に残る名勝負になりそうです。とにかく楽しみです!」
(後編:判定が議論になった那須川天心の試合を分析 ターゲットとなる王者・堤聖也と比嘉大吾の激闘も語った>>)
【プロフィール】
■山中慎介(やまなか・しんすけ)
1982年滋賀県生まれ。元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎氏が巻いていたベルトに憧れ、南京都高校(現・京都廣学館高校)でボクシングを始める。専修大学卒業後、2006年プロデビュー。2010年第65代日本バンタム級、2011年第29代WBC世界バンタム級の王座を獲得。「神の左」と称されるフィニッシュブローの左ストレートを武器に、日本歴代2位の12度の防衛を果たし、2018年に引退。現在、ボクシング解説者、アスリートタレントとして各種メディアで活躍。プロ戦績:31戦27勝(19KO)2敗2分。
著者プロフィール
篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)
フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。
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