井上尚弥のPFP1位は週明けにも終了? ウシク、クロフォードとの超ハイレベルなトップ争い (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

 ただ、両者の実力、実績は甲乙つけ難いのも事実だった。そして、スペンス戦後、クロフォードが試合を消化しないまま1年以上もトップを守り続けるのは妥当と思えなかった。

 クロフォードがSNSでのみ存在感を発揮している間、マーロン・タパレス(フィリピン)、ネリという階級のトップ選手たちをKOした井上の精力的なレジュメは好感が持てる。それでもクロフォードが1位のままでいることを支持した選者はいたが、ほかのパネリストたちも多くが似た意見だった(最終的には、今回投票した11人のパネリストのうち8人が井上を支持)。

 試合の頻度以外にも、ネリ戦の初回にダウンを喫したあとの適応能力、強烈なKOを生み出し続けるインパクトも高く買われ、比較的にあっさりと井上の1位浮上が決まった。

【1位の期間はかなり短くなる?】

 こうして多くの関係者から支持された井上の"王座返り咲き"。日本ボクシング界の最高傑作は現在、"世界最高のモンスター"として確立したと言ってもいい。しかし一方で、『リンガマガジン』のシニアエディター、ブライアン・ハーティ氏がこう記していたことは見逃せない。

「ナンバーワンでいられる期間は、今回も短くなるかもしれない。それでも井上は、1位に据えられるだけの価値があると私も思う」

 井上はノニト・ドネア(フィリピン)との再戦を2回KO で制した直後、2022年6月に日本人初となる『リングマガジン』のPFP1位を達成。ただ、8月下旬には2位に下がり、王位は約2カ月強と"短命"に終わっていた。その時と同じように、いや、今回はその当時以上に落ちるのは早いかもしれない。

 2年前、井上が2位に下がる直接的な理由となったのは、元クルーザー級の世界4団体統一王者であり、現WBA、IBF、WBO世界ヘビー級王者オレクサンデル・ウシク(ウクライナ)が、前3団体統一同級王者アンソニー・ジョシュア(イギリス)との再戦を、2-1の判定ながら明白な勝ちを飾ったことだった。

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