身長149cmの桃野美桜は「全女」をきっかけにプロレスの道へ。「ピカーーーン!って、プロレスの神様が降りてきた」 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

 応募資格に「155cm以上」とあったが、履歴書に「身長は149cmですが、心はでっかいです!」と書いた。友だちに通学路で写真を撮ってもらい、近くのコンビニで現像。その場で写真を貼って、ポストに投函した。

 入門テストで、見事合格。高校2年の春に迷わず高校を中退した。

度重なる欠場で「何回も心が折れた」

 しかし幸せな時は、そう長くは続かなかった。2018年12月、練習中に膝に違和感を覚える。検査の結果、左膝前十字靭帯断裂――。およそ1年に及ぶ長期欠場を余儀なくされた。

 道場でリハビリをしながら、リングで練習する選手たちの姿を羨ましく思った。寮に住んでいるため、部屋にいても練習の音が聞こえてくる。プロレスと向き合いたいのに、向き合えない。プロレスから離れたいのに、離れられない。新たに入門した後輩たちの練習を見ていたが、彼女たちが自分のいないリングで活躍し始めたのも堪えた。

 2019年11月3日、新木場大会で復帰戦を行なったが、翌月の試合中に怪我をし、再び欠場してしまう。「よく心が折れなかったですね」と言うと、「何回も折れてます」と苦笑する。

「つらくてご飯も食べられないし、寝られないし。病む時はとことん病むんです。落ち込んでるとみんな『大丈夫?』って聞いてくれるんですけど、泣いちゃって、なにを伝えたいのかもわからなくなる。周りに迷惑をかけまくってました」

 2020年8月8日、刈谷大会で復帰戦を行なう。対戦相手は、マーベラスのエース・彩羽匠。名勝負を繰り広げたが、10月、今度は彩羽が全治10カ月の怪我で長期欠場することになる。エース不在のマーベラス。絶体絶命のピンチの中、桃野は門倉とともに団体を背負うことになる――。

(後編:桃野美桜が目指す、師匠の長与千種と「真逆」の存在。壮絶なケガを乗り越えての野望は「100歳までプロレスラー」>>)

【プロフィール】
■桃野美桜(ももの・みお)
1998年5月30日、千葉県市原市生まれ。149cm。高校1年生の時、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系列)の豊田真奈美特集をきっかけに、プロレスにハマる。2015年春、高校を中退し、マーベラスに入門。2016年2月13日、ニューヨークで行なわれたMarvelous USAにて、レネー・ミッシェルと組み、対木村響子&デビエンヌ戦でデビュー。2021年6月27日、センダイガールズプロレスリング新宿FACE大会にて門倉凛と組み、橋本千紘と優宇とのタッグ「チーム200kg」からセンダイガールズワールドタッグチームチャンピオンシップを奪取し、11代目王者に輝く。度重なる怪我と長期欠場を乗り越え、常に100%の全力ファイトでファンを魅了する。Twitter:@Mio0207415

【大会情報】
マーベラス後楽園ホール大会、開催決定!
日時:2022年12月4日(日)夜

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