身長149cmの桃野美桜は「全女」をきっかけにプロレスの道へ。「ピカーーーン!って、プロレスの神様が降りてきた」 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

 桃野は1998年、千葉県市原市に生まれた。両親が18歳の時に桃野が生まれ、4年後に妹が誕生した。

 明るく天真爛漫で、おてんばな性格は幼少期から変わらない。3歳の時、七五三の写真撮影のために髪を伸ばしていたが、撮影当日の朝に自分で髪をバッサリ切ってしまい、その日は撮影できなかった。

「子供の頃の写真を見ると、いつもバンダナを巻いているんです。長い髪が鬱陶しかったのか、いつも自分で切ってたみたいです」

 勉強よりもスポーツが好き。小学校4年生の時にバスケットボールクラブに入り、春は陸上、冬は駅伝の大会にも出場するようになった。子供が好きで、将来の夢は保育士だった。

 中学もバスケ部で熱中したが、高校に上がると両親に「遊んだほうが絶対楽しい」と言われ、部活には入らなかった。アルバイトをしながら、友だちとプリクラを撮ったり、カラオケに行ったり。しかしそんな日々に物足りなさを感じ、『SLAM DUNK』の三井寿さながら、両親の前で「バスケがやりたいです」と泣いて土下座した。

「体を動かすのが好きだったのと、常に何かに一生懸命、打ち込んでいたいタイプなんです。目標を立てて、それに向かってがむしゃらに頑張るのが好きです」

 再びバスケに熱中していた高校1年の秋、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系列)で豊田真奈美の試合を偶然目にする。「新・三大 豊田真奈美の技キレキレ試合」という名の特集だ。井上京子戦でのムーンサルト・プレス3連発、アジャコング戦でのローリング・クレイドル、北斗晶戦でのノーザンライト・ボム......。

「『なにこれ、すごい! 楽しそう! やってみたい!』と思ったのがきっかけで、YouTubeで豊田真奈美さんを検索したら、全女(全日本女子プロレス)の試合がいっぱい出てきた。それでハマったんですよね」

 長与千種がマーベラスを旗揚げする前に開催していた、「That's 女子プロレス」。桃野の地元・千葉でも大会があると知り、全女の試合が好きだった彼女は足を運ぶ。ダンプ松本、井上貴子、渡辺智子らの活躍を生で目にし、衝撃を受けた。

「ピカーーーン!って、プロレスの神様が降りてきた。誰がカッコよかったとかじゃなく、プロレスというものが本当にすごかった。『あ、これだ!』と思って、(旗揚げ前の)マーベラスで練習を体験させてもらってから、すぐに入門しようと思いました」

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