那須川天心が武尊との世紀の一戦に「やらないほうがいいんじゃないか...」と思ったワケ (2ページ目)

  • 井上崇宏●文 text by Inoue Takahiro
  • photo by Taikoh Kuniyoshi

大一番を前に「自然体でいられている」と語る那須川天心(写真左)大一番を前に「自然体でいられている」と語る那須川天心(写真左)この記事に関連する写真を見る── 予想どおり、東京ドームのチケットは即完売しました。

「そうなるだろうなとは思っていましたよね。思っていましたし、いま周囲が盛り上がってワーッとなっている反面、『浮かれすぎないでほしいな』というのもありますよね。それは自分自身に対しても」

── この戦前の盛り上がり、その渦中の当事者であるということに関してはどう思っていますか?

「まあ、うれしいですけどね。日本中から注目されるということもなかなかないでしょうから。自分がこうしてその当事者として選ばれたことは本当にうれしいですし、やっぱり『いろいろ任されているんだろうな』というのは思います。でも、騒がれてはいるんですけど、普段生活をしていてそれを実感することはあんまりないんですよね」

── 試合に向かうと練習と身体を休めるということに集中するので、それだけ行動範囲がどんどん狭まって地味になっていきますよね。

「そうですね。こうして取材とか撮影も久々なので、『なんか久々に人と接したな』という感じはします。だからとくに変わったことはなくて、変わった点はSNSを見たりとか更新するのをやめたぐらいですかね」

── インスタグラムの過去の投稿を全部消しましたよね。そういう心理状態って気になるんですけど。

「いや、それはあんまり意味なくて。今回の試合が決まって、めっちゃチェックしに来る人が増えるじゃないですか。『那須川天心ってどんな人なんだ?』みたいな。それが嫌だったのかな?(笑)」

── 「那須川天心はちょっとナーバスになっているんじゃないか?」という見方もできるわけですけど。

「そうですね。でもナーバスになることもなく自然体でいられています。いつも以上に自然体でいられているのかなと思います」


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那須川天心(なすかわ・てんしん)/1998年8月18日、千葉県生まれ。5歳から極真空手を始め、2009年、小学校5年で極真空手ジュニア世界大会で優勝、その後キックボクシングに転身。その後も数多くの大会を総ナメし2014年7月、RISE 100にてプロデビュー。翌年には村越優汰を下し、RISEバンタム級王座を獲得。2016年、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王座、2018年、RISE世界フェザー級王座と複数の王座を獲得した

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