引きこもり、のち「天才」。女子プロレスラー岩谷麻優の始まりは妄想だった (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

――男子レスラーっぽさはすごくありますよね。

「デビュー当時、女子特有の受け身が主流だったんですけど、自分は"女子受け身"が大嫌いだったんです。『え? なに、この受け方? ショボ!』みたいな。そこから自分はだれに教わるとかじゃなく、自分が観てきたプロレス、自分が好きなプロレスをやり続けた結果、『あいつはすごい受け身を取る。なんでケガしないんだ?』っていう噂が流れました」

――今は男子寄りの受け身を取る女子レスラーが多いような気がしますが、岩谷選手の影響でしょうか?

「自分が女子プロレスの受け身をひっくり返した人間だと自負してます。(スターダムのGMだった)風香さんが指導者だった時、後輩に『岩谷麻優をお手本にしろ』と言ってくれて、(紫雷)イオさんもコラムで『受けに関しては岩谷麻優には勝てない』って書いてくれていた。そこは本当に自信を持っています」

――男子プロレスは今でも好き?

「ここ数年、全然観てないんですよ。自分が完成されたというか、自分がなりたいプロレスラーになっている自信があるので、自分の試合を観るのが好き。引きこもり時代に妄想していた、想像の中の自分になれている。ここまで上に行けるとは思ってなかったですけど」

――引きこもっていた時の自分に、なんて伝えたい?

「人生、なんとかなるよ!」

 なんて明るい人なんだろう......。明るいのはすばらしいことだが、取材をする立場としてはどうにか"闇"を引き出したい。取材が進むにつれ、私は焦りを感じていた。

(後編に続く>>)

【プロフィール】
■岩谷麻優(いわたに・まゆ)
1993年2月19日、山口県生まれ。163cm、53kg。スターダムに1期生として入団。2011年1月23日の団体旗揚げ戦でデビュー。およそ1年間、シングル未勝利が続いたが、高い身体能力と抜群のプロレスセンスで頭角を現し、2015年、16年と「シンデレラ・トーナメント」を連覇。紫雷イオと組んだ「サンダーロック」で、ゴッデス王座V10を達成。17年にはワンダー・オブ・スターダム王座に続き、ワールド・オブ・スターダム王座を戴冠。19年、米国ROH女子王座を獲得し、翌年、新日本プロレスのMSG大会で防衛戦を行なった。2019年度の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞女子プロレス大賞」受賞。Twitter:@MayuIwatani

【大会情報】
★岩谷麻優選手も登場! スターダム・ビッグマッチ
『TOKYO DREAM CINDERELLA 2021』
日程:2021年5月29日(土) 会場:東京・大田区総合体育館

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