川井梨紗子「馨さんから逃げたと思われる」。苦渋の決断が生んだリオ五輪の金 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by AFLO


 川井は、父親はグレコローマンスタイルの元学生チャンピオン、母親は世界選手権への出場経験ありというレスリング一家に育った。小学校2年の時、母親がコーチを務めるジュニアレスリングクラブでレスリングを始めるいなや、その才能は開花する。

 世界カデット優勝、世界ジュニア優勝。いよいよシニアで世界を目指すとなった時、巨大な壁となって立ちはだかったのが、伊調である。

 2012年のロンドンオリンピックまで、女子スタイルのオリンピック実施は4階級のみ。伊調は減量がないどころか、時には普段の体重よりも重い63キロ級で戦ってきた。

 そんな折、リオデジャネイロオリンピックから女子は6階級に増えることが決定。伊調は自分の身体に最適な階級で戦うべく、2013年12月の全日本選手権から階級を下げて、川井と同級となった。

 その大会から1年間、川井は伊調と3度対戦した。だが、まったく歯が立たず3連敗。しかも、すべて完封負けを喫した。

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