井上尚弥の統一戦は夏開催か。大橋会長が語る現状「本物は生き残る」 (4ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

――誰かが率先して動かないと、この状況を打開できないということですね。

「そうですね。こういう状況だとみんな二の足を踏みますが、誰かが最初の1歩を踏み出さないといけない。閉塞感があるなかで、ボクシング界が再び盛り上がるきっかけにしたいという思いもあります。当然、感染予防に細心の注意を払いますし、状況の変化にも対応しないといけないですが、ジムの会長としてはボクサーに試合の場を作るのが仕事。興行としては、大きな赤字になることは目に見えています。運営的にはかなり厳しいですが、それでもやらないといけないと考えています」

――あらためて、井上選手の今後のマッチメイクについての考えを教えてください。

「デビュー前から一貫して変わらないのは、井上兄弟が本当に強い相手とやりたいということなんですよね。それは2人のトレーナーであり、父である井上真吾さんの考えでもある。実際に真吾さんからは、『負けて伸びることもあるし、本人達のためにも強い相手とマッチメイクをしてほしい』と言われています。拓真が昨年11月のWBC世界バンタム級王座統一戦で(ノルディーヌ・)ウバーリに敗れた際も、『この経験が拓真を強くする』と話していました」

――ご自身の現役時代の経験からも、強者との戦いは得るものが大きいと。

「仮に敗れても強いボクサーとやることで、ボクサーの価値が見直される部分があります。トップランク社のボブ・アラムも最初は私のことを知らなかったんですが、リカルド・ロペスと戦ったことを伝えたら『君はあのフィニート(リカルド・ロペスの愛称)とやったのか!』と打ち解けたくらいですから(笑)。

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