髙田延彦が力説。ヒョードルVSジャクソンに「強者の色気」を感じろ! (2ページ目)

  • 瀬川泰祐●取材・文 text by Segawa Taisuke

――ヒョードル選手は、残り3試合で引退と言われていますね。その1試合目の今回が日本でのラストマッチです。しかも相手はPRIDEで名を挙げたジャクソン選手ですが、どのような試合になると思いますか?

「どちらが勝つにせよ、KO決着になるんじゃないかな。お互いに思い入れがある日本で試合をするわけですからね。彼らは日本のファンに対してリスペクトの思いを持っているでしょうから、恥ずかしい試合はできないよ。

 それにしても、ジャクソンは言葉選びが上手だね。少し前のインタビューで『この戦いに敗者というものはない。勝つのはファンだ。すばらしいファイトを目にしてもらう』と言っていて。どちらかが殴り倒されて負けるのに、そんな言葉はなかなか出てこないよ。そんな思いを携えた試合を、ファンの人たちには特別な目で見てもらいたい。今のファイターにはないオリジナリティー、"強者の色気"を感じてもらいたいね」

大会の見どころを語る髙田氏 photo by Tanaka Wataru大会の見どころを語る髙田氏 photo by Tanaka Wataru―― 一部では、「年齢的にピークを過ぎたレジェンド同士のカード」という声も上がっているようですが、その点についてはいかがですか?

「一部の人間が『賞味期限切れだ』と言っているのは知っていますよ。でも、もしそう思うなら観なければいいわけです。このカードに価値を見出すことができる人だけに観てもらえればいい。彼らは命を懸けて戦います。何かを言うなら、時代を生き抜いてきた歴史、その足跡、今回の試合を見てからにしてほしいね」

――格闘技の歴史やノスタルジー、ここに至るまでのストーリーを感じながら観たいカードですね。今回はBELLATORとRIZINが年末に興行を共催することになりましたが、高田さんはこの意義をどのように捉えていますか?

「BELLATORは、アメリカにおける二大MMA勢力のひとつですよ。資金力も潤沢なBELLATORが、『RIZINという組織と一緒に手を取り合って、日本にファンを作っていきたい』と言ってくれたことに意義があります。アメリカで磨き上げた金網のBELLATOR、日本で育て上げたリングのRIZIN。このふたつの試合がまとめて観られるわけですから。

 しかも、BELLATORが送り込んでくるのは、マイケル・チャンドラー(前BELLATOR世界ライト級王者)をはじめとする世界のトップファイターたち。それを日本で観られるというのは、日本のMMAファンにとっては最高のプレゼントです。そういった意味でも、大きな組織が単独で日本に上陸するのとは意味合いが違うというのが、ひとつ目の大きなポイントですね。

 2つ目のポイントは、ファイターにチャンスが生まれてくるということ。その象徴的な出来事が昨年の大晦日にありました。BELLATORのバンタム級王者だったダリオン・コールドウェルが、RIZINの舞台でバンタム級のベルトを賭けて堀口恭司とタイトルマッチ。そして今度は、堀口がマディソン・スクエア・ガーデンに乗り込んで、BELLATORバンタム級のタイトルマッチを行いました。2試合とも堀口が勝利して2冠王者となりましたが、このように刺激的な団体間交流をしながら、面白いものを作り上げていこうという姿勢が選手に夢を与えます」

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