2019.12.24

リオ五輪の金、銀メダリストが涙。
レスリング東京五輪への道は超熾烈

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 全日本選手権終了時点、オリンピック代表に内定しているのは以下の6選手だ。

男子グレコローマンスタイル60キロ級/文田健一郎(ミキハウス)
男子フリースタイル65キロ級/乙黒拓斗(山梨学院大)
女子53キロ級/向田真優(至学館大)
女子57キロ級/川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)
女子62キロ級/川井友香子(至学館大)
女子76キロ級/皆川博恵(クリナップ)

 世界選手権でオリンピック出場権を得られなかった階級は、来年3月に中国・西安で行なわれるオリンピック・アジア予選で出場枠の獲得を目指す。この大会には、女子50キロ級を制した須崎、リオ五輪銀メダリストの男子フリースタイル57キロ級・樋口黎(日本体育大助手)、全日本選手権9連覇を果たした男子フリースタイル86キロ級・高谷惣亮(ALSOK)ら10選手が出場する。

「オリンピック代表選手の決定は、早いほうがいいのか、遅いほうがいいのか」

 ロンドンオリンピック前の2010年、日本レスリング協会の福田冨昭会長に直接訊ねたことがある。すると、福田会長は迷わず次のように即答した。

「金メダルの可能性が高い選手にはできるだけ早く内定を出して、オリンピックに向けて準備や調整をさせてやりたい。だが、それ以外の選手は最後まで内定を出さず、とことん競わせたほうがオリンピック本番でいい成績をあげられるだろう」

 会長の考えどおりなら、世界選手権で金メダルを獲得した文田や川井梨紗子には早くから内定を出し、出稽古や海外への武者修行など自由に調整してもらえばいい。

 問題は、世界選手権で優勝できなかった向田(銀メダル)、川井友香子(銅メダル)、皆川(銀メダル)にも同じタイミングで内定を出したことだ。3人は全日本選手権の出場を辞退しており、おそらく来年6月の全日本選抜選手権にも出場しないだろう。

 だが、今大会の1回戦から繰り広げられた激しい代表争いを見ると、彼女たちもあの渦の中に放り込まれて切磋琢磨したほうがよかったのではないだろうか......そう思えてならない。その判断がよかったのか悪かったのかは、来年8月の東京オリンピック本番で明らかとなる。

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