王座陥落で評価ダウン。村田諒太はトップ戦線に戻れるのか? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Yamaguchi Hiroaki/AFLO

12月4日の会見で現役続行を表明した村田12月4日の会見で現役続行を表明した村田 しかし、ラスベガスでの防衛戦で村田は判定負けを喫し、王座陥落。エリート扱いされていなかった28歳のブラントに完敗したことで、アメリカの多くの関係者が「ムラタは限界を露呈した」と考えた。先日、村田が現役続行を発表したこともアメリカではさほどニュースにならなかった。トップ戦線から後退したというより、現時点でほぼ完全に弾き出されてしまった感がある。

 だからといって、村田の上位復帰の目がなくなったわけではない。たった1試合で、選手の評価や商品価値が大きく変動するのがボクシングの世界。村田に関しても、強豪相手に1勝でも挙げればネームバリューを回復させることは可能だ。

「私たちは日本に行って村田と試合をしても構わないよ」

 10月の試合でジェイコブスに僅差の判定負けを喫したミドル級の実力者、セルゲイ・デレビャンチェンコ(ウクライナ)を抱えるルー・ディベラ・プロモーターは、筆者にそう述べていた。村田vsブラント戦が『ESPN』の動画配信サービスで全米生中継されたこと、その直前にはゴロフキン戦が話題になったこと、世界的なリスペクトを集める本田明彦帝拳ジム会長の傘下選手であることなどから、米リングでも"リョウタ・ムラタ"という名前は認識はされている。そのため、再浮上後のビッグファイト実現は不可能ではない。

 問題は、商品価値を回復させるための1勝を誰から挙げるかだ。どの選手をターゲットにすべきか。復帰表明後も具体的にどんな路線を進むのかは明らかになってないが、日本ボクシングの慣例どおり、村田は今後も世界タイトル奪取を目指すのだろう。

「ブラントが来年2月の初防衛戦に勝ったら、日本でのブラントと村田の"リターンマッチ"について話し合おうと考えている」

 12月上旬、アメリカでの村田のプロモート権を持つトップランク社のボブ・アラムは、今後のプランをそう述べていた。老プロモーターの言葉を待つまでもなく、ターゲットはやはりブラントとの再戦が濃厚だ。カネロ、アンドレイド、チャーロらはすべてトップランクのライバル社に所属しているため、現時点で対戦が現実的なのはWBA王者のみ。ブラントが村田戦後にトップランクと契約し、リマッチをまとめるのは、いわば"同門"であることを考えれば難しくないはずだ。

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