二刀流・那須川天心、MMAの横綱との決戦へ。
「堀口さんにも穴はある」 (2ページ目)
リアルファイトのプロの年間平均試合数は多くても4試合と言われるだけに、驚異のハイペースで試合をしていることになる。なぜこんな離れ業ができるかといえば、オフェンス(攻撃)だけではなく、ディフェンスにも優れ、ケガが少ないからにほかならない。
2018年になってからは本業をさらに盛り上げようとキックに専念中。6月には"ムエタイの破壊神"ロッタン・ジットムアンソンと新設されたRISE世界フェザー級王座を争い、デットヒートを繰り広げた末に初代王者になった。
そのロッタン戦から3カ月、那須川は再び大一番に挑む。9月30日、さいたまスーパーアリーナで行なわれるRIZIN.13で堀口恭司とキックルールで闘うことになったのだ。
現在のRIZINでは、MMAとキックボクシングが平行してマッチメークされている。那須川が「キックの横綱」ならば、堀口は「MMAの横綱」といっても過言ではあるまい。それもそのはず。堀口は世界最大のMMAプロモーション「UFC」でも活躍した選手で、RIZINにUターン参戦後は7勝全勝という破竹の快進撃を続けている。
そもそも当初は、9月30日大会でスタートする予定だったキックルールのトーナメントに、那須川も堀口も参戦する予定だった。今年12月31日に開催予定だったトーナメント決勝で那須川と堀口が顔を合わせたらベスト。そんなふうに主催者側が算盤を弾けば、ファンも大晦日の頂上対決を期待した。
しかし、その後もろもろの事情でマッチメークは二転三転。結局、今大会でいきなりふたりのドリームワンマッチが実現することになった。内心穏やかではないのではと思いきや、那須川は逆に歓迎していた。
「自分は堀口さんとワンマッチで闘うのもいいかなと思っていました。1回キックルールで闘った堀口さんと闘うのと、その経験がない堀口さんと闘うのを比較したら、後者の方が幻想が広がる」
MMAではKO率が高い堀口が、キックルールで闘ったらどうなるのか。前例がないだけに、ファンの想像は膨らむ。
堀口とのビッグマッチについて語る那須川 堀口の持ち味は、遠い間合いからいきなり相手の懐にドーンと入り込むステップだ。それは、彼の格闘技のベースとなる伝統派空手のそれを応用したものと言われている。「そのステップを警戒するのか」と聞くと、決戦を目前に控えた那須川は「ほぼほぼ、大丈夫」と微笑を浮かべた。
「堀口さんのようなタイプと闘ったことはないけど、(その対策を講じるために)今は伝統派空手の現役王者と練習しています」
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