2018.09.26

二刀流・那須川天心、MMAの横綱との決戦へ。
「堀口さんにも穴はある」

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji
  • 田中亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

 キックボクシングは日本で生まれた格闘技であることをご存じだろうか。1966年4月、大阪で初めて興行が行なわれ、1970年代にはテレビスポーツとして一大ブームを巻き起こした。一時は民放4局がこぞって放送していたほどだ。

 1990年代半ばにはヒジ打ちを禁止し、掴みによるヒザ蹴りを制限したキックボクシングのニューウェーブ──K-1が台頭。ヘビー級では佐竹雅昭や武蔵、70㎏級では魔裟斗や小比類巻貴之らのスター選手を生み出した。

 その後低迷する時期もあったが、昨年あたりから再び脚光を浴びつつある。その立役者は先日20歳になったばかりの”神童”那須川天心(TARGET/Cygames所属)と断言しても異論を挟む者はいまい。童顔で身長165センチと決して大きくないこの男の、いったいどこが凄いのか。

15歳のプロデビューから圧倒的な強さを見せてきた那須川  答えは、試合を見ればすぐわかる。「立ち技最強」と言われているタイの国技ムエタイの現役王者を目にも止まらぬバックスピンキック(後ろ回し蹴り)で失神させたかと思えば、プロボクシングでは井岡一翔にも勝利を収めているボクシングの元世界王者をパンチで倒した。

 かつて、初代タイガーマスクの試合ぶりがプロレスファンのみならず市井の人々からも注目を集めたように、那須川のそれに能書きはいらない。仮にキックのことを何も知らない人でも、ひと目見たら魅了されるだろう。那須川の技のキレ、スピード、タイミングにはそれだけの説得力がある。

 しかも、とてつもなく強い。15歳でプロデビューして以来26勝全勝(20KO)と連勝街道を驀進中。2016年、2017年にはMMA(総合格闘技)にも挑戦。大谷翔平に刺激を受けたわけではないが、”二刀流ファイター”として注目を集めた。こちらも5戦全勝(キックとMMAのミックスルールを含む)と、未だ負けを知らない。

 当然、各プロモーションから引く手あまた。昨年は日本最大の格闘技プロモーションRIZIN、デビュー戦をして以来主戦場としているRISE、新日本プロレスを手がけるカードゲーム会社ブシロードが運営するKNOCKOUTのリングで計9戦も闘った。ちなみに、2016 年も那須川は同じ数だけファイトしている。