【国際プロレス伝】世界王座を失い、マイティ井上が発した痛快なひと言 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 原悦生●撮影 photo by Hara Essei

 さらに浜口は、マイティ井上のプロレスラーとしての魅力をこう語る。

「井上さんを見ていると、『プロレスが好きで、好きでたまらない』というのが伝わってきましたよ。きっと、お客さんもそうでしょう。格闘技のセンス、それに加えてプロレスラーとしてのセンスがずば抜けていました。うまく言えないですけど、『間(ま)がいい』と言うのかな。

 歌舞伎で『見栄を切る』ような、そんなところがありましたね。要するに、井上さんは"ショーマン"なんです。洗練されていて。常に会場を盛り上げることを考えていて、どんな相手でも受けて、魅せる試合をする。勝負の一瞬の流れを掴んで、ここという時にたたみかける。

 吉原(功/よしはら・いさお)社長が、『井上と浜口にあと10cm、身長があったらなぁ』とよく言っていました。僕はどうかわからないけど、井上さんはどんなレスラーになっていたでしょうね。井上さんみたいな粋(いき)なレスラー、他にはいないですよ」

 その後、IWA世界ヘビー級チャンピオンとして防衛に成功したマイティ井上は、1974年11月21日に大阪府立体育館でAWA世界ヘビー級チャンピオンのバーン・ガニアとダブルタイトル戦を行なった。結果は引き分け。それぞれが王座を防衛した。

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