ゴロフキンのドローで混迷続くミドル級。そこに村田諒太の居場所は? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 その一方で、このカードのリマッチは"ミドル級最強決定戦"とは呼ばれないかもしれない。依然としてそう称されたとしても、同階級の他のファイターたちとの差は縮まっているように思える。先週の試合では、ゴロフキンとカネロから絶対的な強さは感じられず、それと同時に、一時は完全に"トップヘビー(ランキング上位だけに強豪が集中している)"と呼ばれていた同階級に、多くの好選手が揃い始めているのだ。

 昨春まで23連続KO勝利、17連続KO防衛と無敵の強さを誇ったゴロフキンだが、ここ2戦は判定にもつれ込んでいる。TKO勝ちした昨年9月のケル・ブルック(イギリス)戦も含め、相手のレベルが上がるとパンチをもらうシーンが目立つようになった。

 アマチュア時代を含めて約400戦を戦い、35歳を迎えたベテランボクサーゆえ、すでにピークを過ぎていたとしても不思議ではない。衰えがどの程度進んでいるかは意見が分かれるところだが、一時期のゴロフキンが纏(まと)っていた"不可侵のオーラ"が薄れたのは事実。今後、カネロ以外のチャレンジャーと対戦するとなっても、相手選手は一時ほど気圧(けお)されることもなく怪物王者に挑めるだろう。

 昨年3月にゴロフキンを苦しめた、元WBA世界ミドル級王者ダニエル・ジェイコブス(アメリカ/32勝(29KO)2敗)、ミドル級に昇級してきた元IBF世界スーパーウェルター級王者ジャマール・チャーロ(アメリカ/26戦全勝(20KO))は脅威となる存在だ。「この2人は、ゴロフキン、カネロの両方を打ち破るスタイルを持っている」と話す関係者は少なくない。 

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