ボクシング新時代。世界に最も近いプロ4戦の「19歳コンビ」 (2ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao  photo by AFLO

 そして2013年11月、元世界スーパーバンタム級王者の畑中清詞氏が会長を務める、名古屋の畑中ジムからプロに転向。「史上初という記録に挑戦する」と公言している畑中氏の方針に沿って、初陣では世界6位の選手に6回判定勝ちを収めてみせた。昨年10月には18戦全勝(10KO)の原隆二(大橋ジム)に10回TKO勝ちを収め、東洋太平洋ミニマム級王座を獲得。主要4団体(WBA・WBC・WBO・IBF)すべてで世界5位以内にランクされていた原を破ったことで、田中は一気に大舞台に近づいた。

 一方、井上拓真は2歳上の兄・尚弥とともに5歳でボクシングを始め、中学では「U-15」で3連覇を達成。神奈川県の綾瀬西高校では入学4ヶ月でインターハイに出場すると、経験値で勝(まさ)る上級生たちを次々と破り、1年生で全国制覇という離れ業をやってのけた。また、2012年の選抜大会でも優勝したほか、15歳と16歳を対象とした世界ジュニア選手権にも出場し、ベスト16の実績を残している。アマチュアでの戦績は、57戦52勝(14KO)5敗だ。

 井上は高校在学中の2013年12月、元世界ミニマム級王者の大橋秀行氏が会長を務める、横浜の大橋ジムからプロに転向した。兄が同ジムに所属し、父親がトレーナーを務めるという環境のもと、井上は初陣で日本ランカーに6回判定勝ちを収め、2戦目では世界上位ランカーに大差をつけて判定勝ち。3戦目でのKO勝ちを経て、昨年12月には世界挑戦の経験も持つ強豪に危なげなく勝利を収めている。

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