2014.02.25

【ボクシング】3連続KOに見る、村田諒太の危険性

  • 原功●文 text by Hara Isao photo by AFLO

 2012年ロンドン五輪のミドル級金メダリストで、現在はWBC世界ミドル級24位・日本&東洋太平洋同級1位にランクされる村田諒太(28歳・三迫ジム)が、2月22日、中国特別行政区マカオでプロ3戦目を行ない、4回TKO勝ちを収めた。今回の相手は、世界タイトルに挑戦した経験を持つ36歳の強打者、カルロス・ナシメント(ブラジル)。村田はほぼ完璧な内容でナシメントを一蹴し、周囲からは、「来年後半、10戦前後で勝負(世界挑戦)の可能性もある」との声も出てきた。ただ、それまでに越えるべきハードルは、決して少なくない。

初の海外戦となるマカオで派手なKO劇を披露した村田諒太 対戦相手のナシメントは31戦28勝(23KO)3敗の戦績を残しており、ブラジルの国内王座や中南米王座を獲得した実績を持っていた選手だ。2007年には11回KOで敗れたが、WBO世界スーパーウェルター級王座に挑戦した経験もある。スピードには欠けるものの、中近距離での打ち合いに強く、試合前の村田自身は、「普通ならプロ3戦目で手合わせする相手ではないでしょう」と、ハードなマッチメークに苦笑いしていた。

 試合での村田は、改めて非凡な才能を見せ、今後の伸びしろを感じさせた。前回の試合では左ジャブの少なさが指摘されたものの、今回はその左からの切り込みも見事で、全体的にリズミカルでパンチも多彩だった。ガードを固めた小柄な相手を最も効果的なアッパーで攻略するなど、潜在的な適応能力の高さと、引き出しの多さを印象づけた。

 試合前、村田は「今回の試合だけでなく、身体を柔軟に使うことが課題」と話していたが、その点でも十分に及第点といっていい出来だった。中近距離でも確実なブロックで相手の強打を防ぎ、クリーンヒットを一発も許さず、苦しんだ2戦目とは一転して、顔には腫れひとつなく試合を終えた。ディフェンス面から見ても、合格ラインを楽々と超えた試合といっていいだろう。練習環境の整備やプロモート、マッチメークなど、幅広く全面的に村田をサポートしている帝拳プロモーションズの本田明彦代表は、「1試合で5試合分の経験を積んでいる」と愛弟子を称えたが、その言葉にもうなずけるものがある。