【ボクシング】次世代の「パウンド・フォー・パウンド」は誰だ? (2ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao photo by AFLO

 2位以下はバラつきがあるものの、5階級制覇の実績を持つメイウェザーが「最強」であることに、異論の余地はあるまい。この数年、2位以下に大きな差をつけて最強の座を独走しているメイウェザーは、今春、アメリカのテレビ局と30ヵ月に6試合、合計2億ドル(約197億9000万円)という驚愕の契約を交わしており、最低でもあと4度は雄姿が見られる予定だ。しかし、来年2月には37歳になる。世界のボクシング界も、いつまでもメイウェザー頼りというわけにはいかない。

 同じことは、12月に35歳になるパッキャオや、ヘビー級王座を7年間に15度防衛中のウラジミール・クリチコ、拳の負傷で療養中のマルチネス、四十路に入ったマルケスにもいえる。彼らに多くを望むのは酷というもので、ましてやボクシング界の将来を託すのは危険でもある。そこで、次世代のスター候補を探ってみた。以下の10人は、ボクシング関係者の評価をともに、筆者が選んだ候補である。

1位 エイドリアン・ブローナー(アメリカ・24歳)
    [WBC世界ライト級、WBA世界ウェルター級王者。27戦全勝22KO]
2位 ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン/ドイツ・31歳)
    [WBA世界ミドル級王者。28戦全勝25KO]
3位 ミゲル・アンヘル・ガルシア(アメリカ・25歳)
    [WBO世界スーパーフェザー級王者。33戦全勝28KO]
4位 サウル・アルバレス(メキシコ・24歳)
    [前WBA&WBC世界スーパーウェルター級王者。44戦42勝30KO1敗1分]
5位 ノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ・30歳)
    [前WBO世界スーパーバンタム級王者。34戦32勝21KO2敗]
6位 ローマン・ゴンサレス(ニカラグア・26歳)
    [WBA世界ライトフライ級スーパー王者。37戦全勝31KO]
7位 ダニー・ガルシア(アメリカ・26歳)
    [WBA&WBC世界スーパーライト級王者。27戦全勝16KO]
8位 デオンテイ・ワイルダー(アメリカ・28歳)
    [WBC世界ヘビー級3位。30戦全KO勝ち]
9位 ゲイリー・ラッセル・ジュニア(アメリカ・25歳)
    [WBO世界フェザー級1位。23戦全勝13KO]
10位 テレンス・クロフォード(アメリカ・26歳)
    [WBO世界ライト級1位。22戦全勝16KO]

 1位のエイドリアン・ブローナーは、自他ともに認める「メイウェザーの後継者」で、スピードと強打、テクニックを併せ持ったオールマイティの選手だ。すでにスーパーフェザー級とライト級、ウェルター級の3階級を制覇している。

 2位のゲンナジー・ゴロフキンは、9連続KO防衛中のWBAミドル級王者で、ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田諒太(三迫ジム)に、「今の自分では勝てない」といわしめた強打者。28戦全勝(25KO)と、現役世界王者のなかでは最も高いKO率(約89%)を誇る。

 3位のミゲル・アンヘル・ガルシアは、33戦全勝(28KO)の万能型強打者。元世界王者の兄・ロバートの指導でメキメキと力をつけており、11月9日に2階級制覇を成し遂げたばかりだ。ノニト・ドネアとともに、軽中量級の核になる選手といえる。

 4位のサウル・アルバレスは、今年9月にメイウェザーに敗れてWBAとWBCのスーパーウェルター級王座を失ったばかりだが、童顔に似合わず気性が激しく、スター性も十分の選手。23歳と若いだけに、今後の巻き返しに期待が集まっている。

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