【男子バレー】山内晶大が見据えるアジア選手権決勝ラウンド 「ランキングと関係なく油断できない」 (3ページ目)
山内は淡々と言うが、己には厳しく接してきた。
開幕のオマーン戦後、取材エリアで山内に問いかけた。
――今年1月のインタビューで、筆者が「もしタイムマシンで天寿を全うしようとしている自分と会えたら、『自分を誇れ』と言ってもらえるんじゃないですか?」という質問を投げた時、「オリンピックでメダルも取っていないし、何も成し遂げていないのでまだ誇れません」と答えていました。その意味で、今回の大会は五輪へのプロセスの一歩です。
「今日(オマーン戦)がプロセスの1日目とすると、まだ自分を誇れるようなことはできていませんね(苦笑)。ただ、あくまで積み重ねで、オリンピックの出場権を獲れればいいので。まずは予選ラウンドを戦いながら、それが終わったところでギアを上げて......」
山内はそう言うが、決勝ラウンドが総力戦になるのは間違いない。ロス五輪出場に向け、ミドルブロッカーは小野寺太志、エバデダン ラリー、西本圭吾と違ったキャラの選手が使い分けられている状況だが、ベテラン選手の経験と勘が求められるはずだ。
オーストラリア戦後、山内は今後の展望を冷静に語っている。
「(自分が起用される)そのときにチームに必要とされるものを出したいですね。クイックの打数とか、ブロックタッチとか、(ロラン・)ティリ監督の思いを汲み取って、必要なことに徹したい。もちろん、好きなクイックはベースで(トスが)ほしいし、求めもするんですけど」
五輪出場をかけた戦いは、これから過熱する。予選ラウンドはあくまで序章だ。ターニングポイントはどこにあるのか?
「やはり準々決勝ですかね......予選と違ってピリッとしているはずで、負けたら終わりの戦いで自分たちがもう一個ギアを上げ、いい意味で緊張感を持ってできるか。イランも中国も、ランキングとは関係ない部分で、アグレッシブだったり、高さやフィジカルがあったりするので、油断できない。そういう相手を負かすことでリズムも上がるし、大会中に仕上げていく必要があるかなと」
山内がコートで自らを誇る姿は、チームの栄光にもつながっているはずだ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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