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【男子バレー】髙橋藍が見せた勝負師の本性 アジア選手権優勝へ「苦しむ展開もあると準備している」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【冷静に相手の裏をかいて...】

 その点、バーレーン戦は独壇場だった。彼のサーブが走ると、チームの戦いが好転するだけではない。彼自身のプレーもより輝くのだ。

 1セット目、3-2から連続エースを決めたあと、3本目はサーブがネットにかかったが、艶やかなほどのバックアタックで取り返した。2セット目には序盤で自らブロックアウトで得点すると、5-1まで連続ブレイクに成功。パワーサーブ、ショートサーブを織り交ぜて相手を崩し、中盤にも13-8から17-8まで突き放す連続得点を記録した。

「自分自身の目標として、"アグレッシブに攻めていく"というのがありました。それで決まると、チームとして余裕も出て、いいプレーも出てくるので」と髙橋は説明している。

「強度(の高い)サーブを多くするとミスも増えるんですが、極力、その数を減らして、1セット目、2セット目とエースも出たし、崩すこともできました。3セット目も、もう少し自分のサーブでいけたらと、思っていたんですけどね」

 特筆すべきは、その貪欲さだろう。活躍に少しも満足しない。プロのアスリートでも成功には満足を覚えるもので、それは生身の人間の回路なのだが、彼は常に飢えている。たとえばバーレーン戦では、審判の笛が鳴った直後、相手の準備が遅れているのを見極めると、すかさずクイックでサーブを打った。ブレイクに成功中の場面ではじっくり打つのが定石だが、集中力と大胆さは際立っていた。

「バーレーンがちょうどメンバーチェンジしたところは、"サーブに苦しめられている"という気持ちだったはずで、クイックサーブを狙いました。いい状況じゃないところでコンビを組ませることを意識して。代表ではやったことないですし、やるシチュエーションもなかったんですが、今日は相手に隙が見えたので」

 コートでは殺気立った表情も浮かべる一方、冷静に相手の裏をかける。そのメンタル構造はなかなか解析できない。たとえばブロックに阻まれ、体勢も悪いときに打つ、招き猫のように右手を空中でかいた後に左手で打つショットも、心理的に敵を"のみ込んで"いるのだろう。練習でできる選手は多いだろうが、試合で出すのは難しく、身体能力や技術だけでは説明がつかないのだ。

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